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国内外から注目!大型電気バイク「zecOO」を作りあげた小さなチームが紡ぐ大きな夢

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2013.7.18 UPDATE

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大型電気バイクという革新的技術と、SFアニメーションから抜け出たかのような近未来的デザイン。そのふたつを併せ持ち、2011年の東京デザイナーズウィークで発表されるや国内外から注目を集めた電気バイク「zecOO(ゼクウ)」。市販化に向け最終調整に入った「zecOO」は、今どうなっているのか。デザインを手がけた工業デザイナーの根津孝太さん、製作を担当するバイクショップ「オートスタッフ末広」代表の中村正樹さん、そして新たにエンジニアとしてチームに加わったエリックさんに、お話をうかがいました。

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「自分が乗りたいもの」を追求した夢のバイク

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──実物を見ると、パワフルなルックスに圧倒されます。今までの電気バイクのイメージとは、まったく違いますね。

根津:合理的に考えると、電気バイクってどうしてもスクーターサイズのものになりやすいんです。でも僕らは、「自分が乗りたいものを作ろう」というところからスタートしています。マーケットイン(売れるものだけを作って提供する方法)ではなく、完全にプロダクトアウトなんですね。なので大きなメーカーやベンチャーさんも含めて、こうしたフルサイズの電気バイクがユニークな存在になっているんだと思います。
中村:普通のオートバイには、タイヤを固定するフロントフォークがついてますが、このバイクにはそれがない。こういうシステムの乗り物ってなかなかないんです。「こんなバイク走らないよ」と言った人も、たくさんいました。でもちゃんと走ったし、国土交通省の認定も取れました。このプロトタイプも、公道で走ることができるんですよ。信号で止まると、子どもに声をかけられますけどね(笑)。

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──プロジェクトがスタートした経緯から教えてください。

根津:中村さんには、2009年に「ウロボロス」という3輪バイクを共同開発して以来、信頼を寄せていました。それであるとき「zecOO」のイメージ画を一枚見せたところ、「いいね、これでいこう」と。そこから実質3ヶ月というスピードでプロトタイプを制作しました。
中村:根津くんのアイディアなら大丈夫だろう、と。それに夢のある乗り物なのでね。自分も携われたらいいな、と思ったんです。
根津:それで2011年のデザイナーズウィークで発表したところ、すごく反響がよくて。海外の方も見に来てくれて、後にドバイでも出展することになりました。そのときから製品化は考えていて、本格的に始動するにあたり、知り合いだったエリックに参加してもらったんです。
中村:彼はカナダ育ちの台湾人で、トロント大学、東京大学、慶応義塾大学を経て、電気自動車の開発に携わってきた電気のエンジニア。ハイスペックな性能の電気バイクを作るには、彼がいないと成り立たないんですよ。
根津:僕らは、小学校2年生の理科くらいの知識しかないから。
中村:そうそう。プラスとマイナスがどうしたとかね(笑)。
エリック:いやいや(笑)。今はフリーとして「zecOO」に関わっていますが、すごく楽しくて。ゼロから一人で組み立てるなんて、会社勤めではできないことですから。これからどうなるとしても、すごくいい経験になると思っています。もちろん、絶対ハッピーエンドだと思いますけどね(笑)。

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少しがんばってできることなら、カッコいいほうを選びたい

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──それから2年。この間に、一番苦労されたこととは?

根津:やはり、市販化という名の壁はすごく大きかったですね。電気のシステムって、簡単そうに見えて本当に繊細。モーターとバッテリーを買ってきて、つないだら終わりっていうわけではないので。
エリック:ハイパワーのバイクに求められるものは、一般的な自動車やスクーターよりずっと厳しいんです。特に市販品には防塵や防水性など、クリアしないといけないことがいろいろあるんです。
中村:バッテリーのサイズが1センチ変わるだけで、車体の設計をもう一回やり直さないといけなくなったりするしね。

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──デザイナーとエンジニアの意見がぶつかったときは、どう調整するのですか?

中村:安易にデザインを変えることは考えず、問題をクリアできる部品を探すようにしています。それこそ、俺たちエンジニアにしかできないことだから。
根津:でも中村さんの提案で、デザインがよくなることも多いんですよ。たとえば僕が大きなボルトの頭をデザインしたんですが、できあがったのをみたら、小さいボルトも全部同じように加工してあったんです。そんなの、一言も頼んでないのに(笑)。
中村:そのひと手間で、カッコよくなるんじゃないかと思ってね。
根津:その姿勢がすごいなと思って。それはきっと、お客さんも感じとってくださると思うんですよね。
中村:なんかさ、効率という言葉をみんな正義のように信じているけど、少しがんばってできることなら、カッコいいほうを選んだほうがいいと思うんだよね。喜んでもらえるかなと考えるだけで、楽しいし。でも根津くんもすごいよ。俺とエリックが考えると見栄えや機能が犠牲になってしまうことも、根津くんに相談すると、「こういう形状にすれば両立するんじゃない」と提案してくれたりして。デザインというものが、問題を解決する手段だということが改めてよくわかりました。そう考えると……俺たち、最強だね。
根津:自分で言っちゃいますか。
中村:言っちゃった。
根津:ハハハハ(笑)。でも本当に、やる気のある人たちの有機的なチームというのは、今、何よりもパワーを持っていると思いますね。

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作り手が発信しないと「わくわく」は生まれない

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──そして、いよいよ発売に。

根津:今、年内発売をめどに動いています。基本的には受注生産で、色などのオーダーも可能です。新しい乗り物なので、お客さんとも新しい関係性を築きたくて。開発チームの一員になった気分で、バイクを作るプロセスを一緒に楽しんでもらえるようにしたいと思っています。価格も、約1,000万円と決して安いものではないですしね。ただ適価で買っていただくことも、大事なことだと思っています。価値のわかる人が、「これだったらこの値段だね」と納得してお金を払う。つまり、目利きであるかどうか。そういう人を増やしていかないと、この国の文化は滅びてしまうと僕は思っているんです。

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──お話をうかがっていると、とてもいいチームワークを築かれていることを感じます。

根津:こういうプロジェクトって、いつ終わってもおかしくない。それが続けられているのは、この仲間との奇跡的な出会いに尽きると思っています。中心メンバーだけでなく、部品を供給してくださる方たちもこんな感じなんですよ。みんな、ダメな大人の匂いがする(笑)。
中村:そうそう(笑)。でもお互いにリスペクトはしてるよね。
エリック:あと、みんなライダーですしね。
根津:そうだね。バイク好きで、おもしろいものを作るのが好きな人たちが集まって、手弁当でやってくださっている。だから成り立っているんだと思います。「わくわく」は作り手から発信しないと、と思っています。作り手がわくわくしないものに、お客さんがわくわくするはずがない。それは、どんなことでも言えると思います。もちろん楽しいことばかりでなく、大変なこともたくさんある。でも根底にあるそういう気持ちが、ものづくりには大事だと思うんです。

今回の取材を振り返って

取材の間、穏やかな笑顔を絶やすことなく、まるで少年が夢を語り合うように「zecOO」について語ってくださった3人。その姿からは同じ目標に向かって突き進む、世代も分野も違う男たちの、強い結束と熱い思いが伝わってきました。いくつもの困難に直面しながら、「楽しい」という言葉を何度も繰り返す彼ら。ものづくりの現場の分業化が進むなか、信頼で結びついた小さなチームが紡ぐ大きな夢「zecOO」が、どんな表情で私たちの前に現れるのか。その日が、今から待ち望まれます

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2011年の東京デザイナーズウィークで発表された大型電気バイク「zecOO(ゼクウ)」。名前は般若心経の「色即是空」に由来している。モーターとバッテリーは英国の「YASA」、「SEVCON」、「Goodwolfe」を使用しており、車体は完全にオリジナルなEV車。デザインはトヨタ自動車の元デザイナーの根津孝太(znug design)、設計・製作はバイクのカスタムショップを経営するオートスタッフ末広の中村正樹氏(オートスタッフ末広)が手掛けた。
http://www.zecoomotor.com/

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