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中学生でプロの女流棋士に! 竹俣紅が将棋界に巻き起こす 新しい風

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2013.09.19 UPDATE

竹俣紅

小学6年生のときに女流王将戦の予選でプロ2人を破るなどして注目を集め、昨年10月には女流棋士2級となり、弱冠14歳でプロの女流棋士に。そのキュートなルックスの奥に、あくなき情熱を秘めた将棋界の期待の新星、それが竹俣紅さんです。現在は中学3年生、15歳。「まわりに誰も将棋を指せる人がいない」環境で育った竹俣さんは、将棋のどんなところに魅力を感じたのか、そして今どんな将棋ライフを送っているのか、うかがいました。

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遊びに行く時間があったら、全部将棋につぎ込みたい

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──将棋をはじめたきっかけから教えてください。

竹俣:小学校に入る少し前に、そろばんがやりたくて近所の本屋さんに行ったんです。でも、たまたまそろばんの本がなくて、同じコーナーに将棋の本があったんです。将棋って、駒に漢字がいっぱい書いてあるじゃないですか。私、漢字も好きだったので、「おもしろそうだな」と思い、それで手に取ったのがきっかけでした。

──それから将棋を指しはじめた?

竹俣:ただ、私のまわりには誰も指せる人がいなかったんです。それで母がネットで日本将棋連盟の子どもスクールを見つけて、そこに行ってみようということになったんです。実際に指してみたらすごくおもしろくて、どんどんハマっていきました。ほかのボードゲームもたくさんやってきたのですが、たとえばオセロとかって、勝つためのコツがあるじゃないですか。先に角を取ると有利、とか。でも将棋はそういうのがなくて、なかなか一筋縄ではいかない。そういうところがおもしろいと思いました。

──おしゃれや買い物など、将棋以外のことに気を取られることはない?

竹俣:私は小さいときから、人と群れるより一人で静かに遊んでいるのが好きだったんです。あんまり、まわりが何してるとかは関係ない子でした。それは今でも変わりません。やっぱり女子中学生ですから、みなさんお洋服を買いに行ったり、遊びに行ったりしてますが、私はその時間があったら全部将棋につぎ込みたい。将棋が楽しくて好きだから、それをうらやましいとも思わないんです。

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中学2年生でプロに。「やっとなれた」って感じでした

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──いつ頃から、プロを目指すようになったのですか?

竹俣:子どもスクールに入り、女流棋士というものがあることを知って、自分もプロになってずっと将棋を続けていきたいと思うようになりました。それが小学校1、2年生の頃かな。だから、中学2年生でプロになったときは、「やっとなれた」っていう感じでした。

──プロになって、将棋に向かう気持ちに変化はありましたか?

竹俣:それはすごく変わりました。アマチュアとプロの大きな違いはお金をもらっているか、ということ。まだ学生だから、あんまりお金のことはよくわからないけれど、「これで食べていく」っていう感覚が、独特な緊張感を生み出しているんだと思います。責任やプレッシャーも感じるし、負けたときの悔しさも大きい。でも趣味で勝つより、職業として勝ったときの喜びは本当に大きいです。自分の人生で、すごく貴重な体験になっていると思います。

──年上を相手に、苦戦を強いられることもあるのでは。そんなときは、どのようにして乗り越えるのですか?

竹俣:やっぱり、相手の方には長年培ってきたものがあるので、経験の足りなさを感じることもあります。そこはどうしても勝てないので、若い感覚とか、ほかのところで勝負するようにしています。あと、将棋はほかのボードゲームにくらべて、運の要素が非常に少ないんですよ。負けるのは、自分の実力がないからなんです。だから、とにかく勉強して強くなるしかない。でもがんばって勉強すれば、必ず勝てるようになるのも将棋なんです。

──どんなプロの女流棋士になりたいですか?

竹俣:将棋の魅力を伝えられる女流棋士になりたいです。最近は、コンピュータとプロ棋士が勝負する「電王戦」がインターネットで注目を集めるなど、自分で指さずに「観て」楽しむ、いわゆる「観る将」という将棋ファンもいて、そういうイベントも増えてきています。これまで将棋界では、よい棋譜を残すために棋士ががんばってきました。その上でこれからは、いろんな人に興味を持ってもらえるよう広げていくことも大切だと思っています。

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男女も年齢も国籍も関係なく、相手と対話できるのが将棋の魅力

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──今の目標を教えてください。

竹俣:早く昇級して、高校生のうちにタイトル挑戦者になりたいです。そのためにはとにかく、強くなりたい。強くなるためには、感覚を磨くことももちろんですが、やはり研究しかないと思っています。昔は、本や棋譜の紙を見ないと研究ってできなかったんですが、今は、公式戦の棋譜を全部観られる棋譜データベースというものがあるんです。それを使わず、たとえば2週間前の将棋を知らずにいると、その将棋と同じ形になったときに負けちゃうこともあります。だから、最新の情報をつかんだ上で研究しなきゃいけないんです。

──とてもしっかりされていますが、竹俣さんも女子中学生。対戦相手がステキな男性で、思わず気がゆるんでしまうなんてことは…。

竹俣:ぜんぜんないです(笑)。将棋界は女の人より男の人のほうが断然多いので、男性の中にいることは慣れてるし、もう同士みたいな感覚だから。それに女流になってからは女性だけの対戦になるので男性と対戦することは稀なんですよ。特別に男性の棋戦に招待される方もいらっしゃいますが、私はまだありません。

──そうなんですね。失礼しました…。

竹俣:たしかにプロの世界では男女の区別がありますが、将棋は年齢も、国籍も問わず、将棋だけで相手と対話することができます。例えば小さい頃、視力の障害をもった方と棋譜を読み上げながら将棋を指した事があります。どのような環境の方ともコミュニケーションをとれるところは、将棋の魅力のひとつだと思っています。

今回の取材を振り返って

澄んだ瞳でこちらをまっすぐに見て、どの質問にも淀みなく答えてくれた竹俣さん。その堂々とした振る舞いは、彼女がまだ中学生であることを忘れてしまうほどでした。特に、女流棋士としての挑戦にとどまらず、「将棋をもっと世の中に広めたい」と俯瞰で将棋界をとらえる姿勢は、まさに「プロ」そのもの。自分の信じた道に迷いなく注がれる彼女のこの情熱が、次世代の将棋界をますますおもしろくしてくれそうです。

youtubeでは竹俣さん自身が編集をした女流棋士会ファンクラブ「駒桜」のPVも閲覧可能!

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竹俣紅
1998年6月27日生まれ。東京都出身。
日本将棋連盟所属の女流棋士。2008年、小学4年生の時に日本将棋連盟主催の第1回駒姫名人戦優勝する。2010年、第5回白瀧あゆみ杯争奪戦に出場、決勝戦に進出。同年、第32期女流王将戦の予選にアマチュア代表で出場し、アマチュアの小学生として史上初めて女流タイトル戦の本戦に進んだ。2012年10月1日付で、女流2級でプロ入り。

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