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通勤をスポーツに!? エクストリーム出社で日本の朝を元気に

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2013.11.07 UPDATE

エクストリーム出社

日々、無為に過ごしている、目覚めから出社までの時間。この時間に観光や海水浴、登山などのアクティビティをこなして、そのまま定刻どおりに出社する。そんな斬新な通勤スタイルを「エクストリームスポーツ」と定義してツイッターやブログで発信し、注目を集めているのが「エクストリーム出社」です。エクストリーム出社の出現で、日本の朝はどう変わるのか?ともに会社員でもある日本エクストリーム出社協会代表の天谷窓大さん、椎名隆彦さんにお話しをうかがいました。

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日常の中に非日常という刺激を与えたい

服装は平時の出社時のものであれば問題ない。より臨場感あるものにするために、あえてスーツや革靴を着用して臨むプレイヤーもいるそうだ。 服装は平時の出社時のものであれば問題ない。より臨場感あるものにするために、あえてスーツや革靴を着用して臨むプレイヤーもいるそうだ。

由比ヶ浜での海水浴をしてからの出社。早朝なら広い海を独り占めできる。 由比ヶ浜での海水浴をしてからの出社。早朝なら広い海を独り占めできる。

──そもそも「エクストリーム出社」とは?

天谷:エクストリーム出社とは、朝起きてから会社に行くまでの時間帯にレジャーを楽しみ、そのあと何食わぬ顔で出社するという(笑)、新しい出社の仕方を模索する活動です。
椎名:「定時に会社に行く」ことさえ守れていれば、ルールは特にありません。早朝なので騒がしくしないようにするなど、社会人としての常識は守りつつ、という感じですね。
天谷:あくまで日常の時間軸に沿いながら、その時間をどれだけ天真爛漫に過ごせるかがポイントなんです。

──これまでどのような活動をされてきたのですか?

天谷:第一回目は鎌倉観光をして、由比ヶ浜で海水浴もしました。早朝って、いつもと違う景色が見られるんですよ。ラッシュ時は人であふれている駅も、朝靄がかかっているような時間に行くと違う世界を歩いている気分になる。いつも人の多い鶴岡八幡宮も、早朝は誰もいなくて独り占め状態でしたね。
椎名:真夜中から高尾山に登ったのも思い出深いですね。ただ汗だくになるわ、ワイシャツにいっぱい小虫がつくわと大変で…。あまりおすすめできません(笑)。
天谷:9月には、エクストリーム出社をツイッターで報告し合い、その中から優秀者を決める「全国一斉エクストリーム出社大会」を開催したんです。そしたら、もう…。
椎名:想像を絶するような出社がたくさんあって……。
天谷:激流をカヌーで下って出社とか。合コンした女性もいました。朝5時半からホテルのカフェで乾杯して、2次会のボーリング、3次会のカラオケまでやってもまだ朝8時(笑)。
椎名:一方で、ひとり静かにお墓参りした人もいました。まさに静と動、陰と陽の入り混じった大会になりましたね。

第三回目は高尾山で日の出を見てからの出社。深夜の1時に出発したそうだ。第三回目は高尾山で日の出を見てからの出社。深夜の1時に出発したそうだ。

──(笑)。いわゆる「朝活」とはかなりイメージが違います。

椎名:毎日、会社に行ってると、マンネリ化してあっという間に一年が過ぎてしまいますよね。でも平日の朝に小さい旅行をすると、休んだ気分になれる。日常の中に非日常という刺激を与えてリフレッシュしよう、というのが目的なんです。
天谷:朝活が自分を高めるものだとしたら、エクストリーム出社は自分を解き放つもの。今まで「時間がなくてできない」と思っていたことができて、さらに仕事もできるというダブルの達成感があるんです。

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会社に行きたくなくて、逆の電車に乗ったのが始まりでした

千葉県の柏市場によってから出社。写真はおろしたての中落ちを持っているところ。千葉県の柏市場によってから出社。写真はおろしたての中落ちを持っているところ。

──活動をはじめたきっかけは?

天谷:僕が個人的にやっていた遊びが発端です。以前、勤めていた会社に厳しい上司がいて、会社に行くのがイヤになった時期があったんですね。駅のホームには並ぶけど、どうしても行きたくない。そしてある日、会社と逆方向の電車に乗ってしまった。「やってしまった」と思ったんですが、せっかくなので少し遠くの駅で降りて喫茶店でモーニングを食べたら思いのほか楽しかったです。それがだんだんエスカレートして、赤羽の家を出て築地で朝食をとってから渋谷に出勤したりしてました。

──だいぶ遠回りですね(笑)。

天谷:そうなんです。でも、それまで朝起きると会社が目の前に立ちはだかっているイメージがあったのが、無理やり「観光」をねじ込むことで気持ちがラクになったんですよね。「玄関のドアを開けて行くのは、会社じゃなくて築地だ」みたいな(笑)。
椎名:僕はその話を呑んでるときに天谷さんから聞いて、すごくおもしろいと思ったんです。それまでにも「リアル桃鉄(桃太郎電鉄)」のイベントを主宰するなど、日常をゲーム化する試みはしていて、それで天谷さんの出社も競技みたいにスポーツ化して、みんなで楽しめないかと思ったんです。

──早朝から動いて、仕事に支障が出ることはないですか?

椎名:それが逆に、テンションが上がった状態で会社に行くので、仕事に集中できるんですよ。「会社に着いたら、声がデカイと言われた」という人もいました。一人だけ声帯が、起床から4時間後のコンディションになっていたみたいです(笑)。早寝早起きの習慣がつくと体調も良くなるし、ホルモンバランスが整うから女性の美容にもいいですしね。
天谷:お肌のゴールデンタイムには、電池が切れたように寝ますから(笑)。朝早く起きて太陽の光を浴びると、脳内神経伝達物質のセロトニンの働きが活発になって、不安や憂うつ感を緩和することもできるそうです。
椎名:早起きは三文の得といいますが、本当にいろんなメリットがあることに、僕らもやってみて気付きました。まあ、こんなにハードでなくてもいいのかもしれませんが(笑)。

ピクニックイベントを多数手がけるユニット「gomm(ごむ)」と企画した芝公園での早朝ピクニックの様子。快晴の空のもとサンドウィッチを作ったそうだ。 ピクニックイベントを多数手がけるユニット「gomm(ごむ)」と企画した芝公園での早朝ピクニックの様子。快晴の空のもとサンドウィッチを作ったそうだ。

──散歩やジョギングといった適度な運動ではなく、「エクストリーム(=過激な)」にこだわるのはなぜ?

天谷:エクストリームと付けることで、手っ取り早く非日常を味わえるんですよね。僕はテレビのバラエティ番組が好きなんですが、あれがおもしろいのは、いつも画面の中でハプニングが起こっているからなんです。僕らも、事件を起こせば楽しくなるんじゃないかと。舞台のようなものですね。あえて極端な設定を作り、そのなかで役者になりきっている感じで。
椎名:出社のエンタメ化、いわば劇場型出社です(笑)。あと、週末より平日の旅行のほうがリフレッシュ効果は大きいし、朝の1時間と夜の1時間ではぜんぜん体感時間が違う。だから平日の朝に凝縮した旅行を一発仕掛けられると、地上から一気に飛んでいく感じがするんです。そこがジョギングとかと、大きく違うところなんだと思います。

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朝の時間が楽しみになれば、日本は変わるはず

日本エクストリーム出社協会代表の天谷窓大さん(左)と椎名隆彦さん(右)。 日本エクストリーム出社協会代表の天谷窓大さん(左)と椎名隆彦さん(右)。

──活動をはじめられて2ヶ月で、多くのメディアに取り上げられるなど話題に。この反応をどのように受けとめていますか?

椎名:もともとニーズはあったんだと思います。散歩して会社に行く人とか、サーフィンして会社に行く人とかは全国にいましたからね。
天谷:早朝の出社を奨励する会社が出てきたり、朝の時間が見直されてきている。それで僕らの活動もただの悪ふざけでなく(笑)、新しい働き方の提案として受け止められているんだと思います。
椎名:あと、生き方に悩んでる人が多いことも背景にあるのではないかと思っています。今、「仕事をいくらがんばっても報われない」と感じている人は少なくないと思うんです。そうすると、余った時間に何をするかが重要になってくる。会社だけでなく、別の場所でもやりがいやアイデンティティを持つことが大切になってきているんだと思います。

──これからどんなふうに発展させていきたいですか?

天谷:エクストリーム出社が盛り上がって、朝の時間が楽しみになればいいなと思っています。
椎名:朝食メニューを出す店が増えたりしていますが、まだ朝レジャーはないんですよ。そのプラットフォームになれたらと思っています。週に一回でも朝に観光する習慣ができたら、朝から開いているお店が増えたり、旅行ツアーが生まれたり、いろいろ変わってくるんじゃないでしょうか。

──最後に、いつかやってみたいエクストリーム出社を教えてください。

椎名:京都観光をしたいですね。世界中から観光客が集まる京都でも、朝は人が少ないと思うからです。あと、お金があったらヘリコプターで出社したいです。
天谷:平社員なのに、会社に「明日はヘリで出社します」って申請して、タクシーみたいにみんなで相乗りして…。順番に縄ばしごで降りて「いってらっしゃい」と言ってみたいですね(笑)。

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天谷窓大(写真左)
日本エクストリーム出社協会・共同代表。過去に勤めていた会社で、ストレスから出社拒否のような状態になり、会社と逆方向の電車に乗るなどしてエクストリーム出社の原型を生み出す。「エクストリーム出社」のネーミングを考案。1983年生まれ。テレビ番組の制作会社に勤務する会社員。社内のシステム構築などを担当している。学生時代から青春18きっぷを使った電車の旅が趣味。9月24日の誕生日は、サプライズでお祝いされたいと願っている。

椎名隆彦(しーなねこ)(写真右)
日本エクストリーム出社協会・共同代表。天谷のエピソードをもとに、早朝から出社までのプロセスをエクストリームスポーツと定義。通勤をゲームとしてパッケージングする。1979年生まれ。位置情報系WEBサイトで観光特集などの企画業務にたずさわる会社員。新卒から技術職だったが、1年前から現職に。ゲームのプログラムも組むが、「リアル桃鉄」など日常をゲーム化するのがライフワーク。独特の虚脱感を共有して面白がる「へもいっ子クラブ」代表でもある。
http://www.エクストリーム出社.com/

取材を振り返って

会社員なら、誰もが経験ある平日の朝の憂うつ感。そのブルーな気分を、冗談とも本気ともつかぬアイディアで、見事に転換して見せた「エクストリーム出社」。その発想の源にあったのは、日々を笑って楽しく過ごしたいという、シンプルで普遍的な思いでした。早々にビジネスホテルで「エクストリーム出社プラン」が組まれるなど、ビジネスチャンスの萌芽も感じられますが、「会社辞めちゃうと、出社する場所がなくなっちゃうので」とあくまでマイペースの天谷さんと椎名さん。おふたりの穏やかな笑顔と柔軟な発想に、日本のサラリーマンの生命力を見たように思いました。

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