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アノ人の気になるブックス 大人になっても読み直したいお勧め絵本 ナビゲーター:ミムラ

幼少期から書籍に囲まれて育ったというミムラさん。女優業だけでなく執筆活動に表現の場を移しても自分らしさを失わない彼女の秘密はどこにあるのか? そんな彼女の原点にもなった数ある絵本の中から、今号では厳選したお薦めの作品やそれにまつわるエピソードを紹介します。

ミムラの1冊目:「がんばれさるのさらんくん」 “なんでもあり”な時代の象徴。クリエイター志向の強い方に、是非読んで欲しい1冊。

(作画の)この本は、絵本業界の大御所である長新太さんのデビュー作なんです。
新太さんはこれまでいろんな名作を描かれていますが、晩年の新太さんの画風を知っている人がこの絵本を初めて見たとしても、きっと彼の作品だとは気づかないと。それぐらい画風が変わっているんですね。
晩年の新太さんは、ピンクとか黄色といった、目にも鮮やかな暖色系の伸び伸びした画が特徴的ですが、本作は緻密な、構成的な意識が感じられるデザインとなっています。
作家さんも絵柄が変わっていくのは当たり前だと思いますが、あまりにも方向性が違っていて、初めて読んだ時に「え、こんな作風の時代があったの?」って驚いたのを記憶 しています。

このように同一作家さんの初期の作品と現代の作品を見比べてみるのは、とても面白いですよ。こういう緻密な作風の時代があって、そこから派生して晩年の作風になって、などと考えると半世紀も前に出版されたこの本に想いが巡ります。
わたしは戦後間もない頃に出版された絵本が大好きなんです。今だと絵本作家とイラストレーターの垣根があまりなくなってきてますよね。画が安定していることや読者に求められている良さを継続して提供し続けられることが“良し”とされていますが、この時代ってある意味、“なんでもあり”だったんですよね。とにかく楽しいことを実験的にやってみよう!という感覚で。
クリエイターだったらやはりこういった場が必要だろうなと思うと同時に、現代にももうちょっと実験できる場所があればいいのにな、と。個人的に本は直に手に持つものであって欲しいですが、ウェブでやったらどうかな、と思ったりもしますね。

【作品紹介】
「がんばれさるのさらんくん」
1958年に刊行された、長新太の絵本デビュー作。動物園のオーケストラでトランペットを吹くことになった、さるのさらんくん。一生懸命練習しているある日、動物園が火事になって・・・。


著者:中川 正文 (著), 長 新太 (イラスト) 発売日:2006年1月(復刊) 出版社:福音館書店

がんばれさるのさらんくん

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ミムラの2冊目:「まるまるまるのほん」究極のアナログに戻った遊び方が逆に新鮮。自分の素直さを見つめ直すときに読みたい1冊。

“まる”について描かれた絵本は意外と多くて、たとえば赤い“まる”が旅する絵本とか、“まる”の色が重なっていく様を見せる絵本とかたくさん出版されてるんですよ。だから正直に言うと、このタイトルを見たときは魅力的に感じなかったんです。
でもページをめくってびっくり。
絵本に指示が書いてあって、それに沿って進めていくだけというシンプルな内容なんですが、子どもの想像力をフルに引き出してくれるとてもよくできた絵本でした。

最近の子ども向けの絵本の懲り方って、例えば「3Dがすごい」とか最新技術を活用する傾向が強いんですね。その点、この作品ほど対極に位置するものはないな、と。こんなに単純・明快なのに、大人まで楽しませられるのはすごいなぁって感激しました。
そういった部分で描き手の信念に揺らぎが無いのは、勇気があってすごいと思います。
だからこの作品を面白いと思えなくなったとき、「あ、今の自分、素直じゃないかも」っていうバロメーターにもなりますね(笑)。

【作品紹介】
「まるまるまるのほん」
絵本に描かれた「まる」を使って遊ぶ、フランス発の絵本の可能性に挑戦した新感覚絵本。読み聞かせにもぴったりな、遊びながら読むことが出来る一冊。


著者:エルヴェ・テュレ(作)、谷川俊太郎(訳) 発売日:2010年6月 出版社:ポプラ社

まるまるまるのほん

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ミムラの3冊目:「クリーナおばさんとカミナリばあさん」コミックタッチとエコをテーマにした、当時にしては斬新な絵本。読み応えのある絵本を探している方にお勧め。

この絵本は、私の母親が現役の保育士だった時代に買っていたものなんです。
だからもう数十年前の作品なんですが、そうは見えないですよね?
この本が出版された時代を考えると、すごく斬新だったのではと思います。
ちょっとコミックっぽい部分もあって、キャラクターもすごくエッジが立っていて、なおかつ、エコをテーマにしているという(笑)。
カミナリのおばさんというファンタジックなキャラクターが出て来るんですが、最後のシーンでは廃棄された電化製品を雲の上に連れて行って、皆で豊かな暮らしをする、という世界観がとっても楽しい作品です。

この本の作家である西内ミナミさんは、すごく勢いのあるストーリーを書かれる方。わたし自身がのんびりしている性格なので、西内さんの書く絵本に出てくる主人公のように、勢いで動ける人にいつも憧れてるんですよ(笑)
ストーリーはいわゆる絵本的なハッピーエンドではあるんですが、登場するものが掃除機とカミナリのおばさんというかなり変な組み合わせで、個人的に大好きな1冊です。

【作品紹介】
「クリーナおばさんとカミナリばあさん」
名作絵本「ぐるんぱのようちえん」のコンビによる、ものを大切にする心をテーマにした1冊。ごみの島に捨てられた掃除機のクリーナおばさん。また働きたいと思っていると、カミナリおばさんが現れ、カミナリ山で働くことに・・・。


著者:西内 ミナミ (著)、堀内 誠一 (イラスト) 発売日:2009年2月(特製版) 出版社:福音館書店

クリーナおばさんとカミナリばあさん

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Close Up

わたしは三姉妹の末っ子だったので、上に姉が二人いて、生まれつき絵本が常に周囲にある環境で育ちました。さらに母が保育士だったこともあり、もう小さい頃から遊び道具のひとつとして当たり前に絵本があったんです。
今思えばわたし、末っ子だったので上の人にすごく認められたいみたいな、背伸びする子どもだったんですよね。小さい頃から“子ども扱い”されることが嫌いで(笑)。幼児に合わせる口調で話しかけられると、子どもながらに違和感があって、大人同士ではそういう喋り方をはしないのに、なんでだろ?ってすごく不思議だった。
なので、普段子役の子たちと話すときは、なるべくいつものトーンで喋ります。逆に、子どもたちと同じ目線に立ってしまうので、普通に喧嘩になったりもするんですけどね(笑)。でも、そこでしか分かち合えないこと、教えてもらえないこともあります。子どもってすごく器用で、子どもの世界の自分と大人と接するときの自分を使い分けていることが多いんだなって、接していて思うんです。

だから同じ目線で接すれば「大人には秘密だけど、いいこと教えてあげる」っていうことがけっこうあります。
例えば、本屋さんに行ったときに、その場に親御さんと一緒に来ている子どもがいたら、了承を得て、子ども自身にどの本が面白いのか教えてもらうんです。

自分が普段選ぶものがどうしても似通ってくるので、人に意見を聞いて自分の柵を壊したいのに、それが大人からだと素直に聞けないことがあって。どうしても頭が固くなっちゃうんですね。そこで子どもに聞くと全然予想と違うものを持ってきてくれるんです。(子どもには)けっこう独特の理由があって、本の魅力をうまく発見しているんですよね。

好きな絵本について綴った「ミムラの絵本散歩」(7月23日発売)は、一応“絵本”というタイトルを銘打っていることもあり、世の絵本好きな方、大人になり絵本とどう接してよいか分からなくなったという方に、読んでいただけたら嬉しいです。
わたしは日本人で日本生まれ日本育ちだから、紹介する絵本は「日本のものを半分以上選ぶ」と(前作に当たる)一作目から決めています。雑誌などで紹介されるものは外国の絵本ばかりになっていることが多くて、そこにずっと疑問を感じていました。もちろん絵を楽しむものだから、掲載したときの“見栄え”で選ぶことも大事な見方なんですけど。日本人的な感覚のある作品だとか、風土が生きている作品だとか、そういうことを考えるとやはり日本の絵本を読んで欲しいとも思います。

前作は初めての本だったから、みんなに可愛がってもらえる本にしたいと思いました。なにしろ文章に自信がないから、モノとしての価値をとりあえず高めようと、デザインだったりとか紙質だったり、持っていて心地よい感じっていうのを目指したんです。そしたらそれが上手く人の心に入ったところもあったみたいで、本が大好きな友だちや知り合いの編集さんが「本棚にいて欲しい感じがする本だよね」って褒めてくれたんです。その話を聞いて「ああ、よかった!」って思えて。
けっこう無茶な目標ですが、作るからには「買ってから5年後も本棚にいる本にしたい」と。前作に続き今回もそういう風になれたらいいな。
最後の校正は寝不足でフラフラしながらやったんですけど、でもこれで買った人に少しでも楽しんでもらえればって思って、割と欲張りにはやったつもりです(笑)。

ミムラの絵本散歩

「ミムラの絵本散歩」

月刊MOEに掲載された、絵本にまつわるエッセイ・街歩き・作家対談等をカラーいっぱいで収録。初めて語る芸名「ミムラ」の秘密やムーミンに関する新エッセイ等、書き下ろしも満載。
発売日:2010年7月23日 価格:1,575円(税込み)
出版:白泉社

ミムラ

ミムラ
女優

埼玉県出身。2003年、フジテレビの月9ドラマ「ビギナー」のヒロインオーディションで合格し、女優としてデビュー。映画やドラマでの出演を重ねるほか、女優業だけでなく、2007年に白泉社より発売したエッセイ「ミムラの絵本日和」など、執筆活動でも幅広く才能を発揮。

・ワンピース19,950 (HEMISPHERES FEMME/エミスフィール青山店 tel:03-3479-5840)
・ネックレスチェーン18,900 ・ペンダントトップ 32,550(共にアガット tel:0800-300-3314)
・靴 参考商品(ラス tel:03-5456-0752)

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