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アノ人の気になるブックス マイブーム・オブ・ブックス2010「地獄編」 ナビゲーター:イラストレーターなど みうらじゅん

「仏像」や「ゆるキャラ」ブームの立役者として知られる稀代のサブカルキング、みうらじゅんさん。「マイブーム」という言葉の生みの親でもあるみうらさんが、「マイブーム・オブ・ブック」というテーマで3冊の本をセレクト。「地獄編」「土着編」として2号続けてご紹介します。また、みうらさん流の本の買い方や、ご自身の読書スタイルについても伺いました。

みうらじゅんの1冊目:『地獄大図鑑』 落ちる前に読みたい、ビギナー向けの地獄入門書

みうらじゅん

去年あたりからオレの中で地獄ブームがきて、地獄に関する本をひととおり買いました。地獄も今からロケハンしておかないと。落ちてからじゃ、遅いですからね(笑)。それで本屋でまず、一番ハードルの高い『往生要集』(徳間書店)を買ったんです。源信っていう平安時代のお坊さんが書いた、日本の地獄のベースになった本なんですが、箱入りの豪華な本で4,000円近くしたかな。その後は地獄と名のつく本はどんどん買いました。大きな本屋で地獄関連の本をまとめて買ったら、棚から本がごっそりなくなって。きっと著書の人たちは「地獄(ブーム)、来るかも」って喜んでいると思います(笑)。そんな感じで、今まで30冊くらい地獄に関する本を買いました。なかでもこの『地獄大図鑑』という子ども向けの本は、一番わかりやすかったですね。

【作品紹介】
『地獄大図鑑』
日本の「八大地獄」をはじめ、世界の民族に伝わるさまざまな地獄を、豊富なイラストでわかりやすく解説した小中学生向けシリーズの1冊。巻末特別ふろくでは地獄めぐりのための服装や持ち物もガイドされている。


編:木谷恭介 発売日:1985年8月 出版社:立風書房

地獄大図鑑

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みうらじゅんの2冊目:『日本人と地獄』 文学に描かれた地獄から見えてくる、日本のダークサイド

みうらじゅん

いろいろ本を読むうちに、地獄のことがだいぶわかってきました。「地獄で会おうぜ」って軽く言っても、地獄ってものすごくたくさん種類があって、その一個一個の地獄は何万由旬(=何十万キロ)も離れてるから、同じ罪じゃないと会えないこともわかってきたし、神道には黄泉の国はあるけど地獄はないこともわかりました。だから、神道にしようかと思っていて(笑)。あと、淫らなことを想像したら落ちる地獄というのもあるんです。そうなったら、もう全員地獄行きですよ。多分、天国ガラガラだと思います(笑)。そういえば、昔はよく「閻魔さまに舌を抜かれるよ」とか聞いたけど、最近とんと聞かなくなりましたね。たぶん、地獄より不況のほうが怖いんでしょう。この本は日本人の地獄観について書かれたもの。池上彰さんに「地獄って、あるんですよね」と教えてもらいながらでないとわかりづらい、ちょっと上級者向けの本ですね。

【作品紹介】
『日本人と地獄』
『往生要集』『日本霊異記』をはじめ、さまざまな文献や文学作品をひもとき、そこに描かれた「地獄」について考察。地獄・上級者向きともいえる「日本人の地獄観の集大成」。


著:石田瑞麿 発売日:1998年3月 出版社:春秋社

日本人と地獄

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みうらじゅんの3冊目:『絵本 地獄』 地獄絵をグラフィカルに再構成した、地獄の絵本

みうらじゅん

この絵本は、延命寺というお寺の地獄絵をもとにしたもので、気がついたら2冊も買ってました。子ども向けなんで、わかりやすい本です。初めて訪れた女子の部屋に、こんな絵本が一冊おいてあったら、ものすごいインパクトでしょうね。きっと「帰ろうかな」って思うと思いますよ(笑)。地獄について調べるために、本に限らず、地獄と名のつくものもいろいろ買いました。映画の『地獄に堕ちた勇者ども』や『地獄のヒーロー』のDVDとか、キッスの『地獄の軍団』のCDとか。あんまり興味はないけど、地獄と入っていたらしょうがない。当然、別府温泉で地獄めぐりもしてきたし、地獄ラーメンの店にも行ってみました。ただ地獄ラーメンって激辛ブームより前なんですよね。食べてみたら、そんなに辛くなかったんですよ。

【作品紹介】
『絵本 地獄』
千葉県延命寺に所蔵されている十六幅の絵巻をもとに、地獄絵とストーリーをグラフィカルに再構成。現代を生きる子どもたちに、「死の恐れ」を語り「生きることの尊さ」を伝える絵本。


監修:宮次男 発売日:1980年8月 出版社:風濤社

絵本 地獄

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みうらじゅん

「よく買うけど、よく読まない」が、本を買うスタイルです

本を買うのは、すごく好きなんです。ただ、「よく買うけど、よく読まない」というスタイルですね、昔からずっと。買うときは大きい本屋さんに行って、一番上の階から順にずーっと背表紙を追って「巡回」します。そうすると、その時々で気になるタイトルが目に飛び込んでくるんですよ。急に「漬け物」と書いてある背表紙に引っかかったりして。ここにある『ふぐ調理師入門』という本も、そんなふうにして買いました。これが3,000円とかすると、手にとってレジに運ぶまでに「本当に必要なんだろうか」という葛藤があるわけです。しかも買うときはまとめて買うから、配送サービスができる前は、手がちぎれるくらい重いのを持って帰ったりしたし。そういう苦労をすると、「ここまでして買うんだから、きっと好きに違いない」って、ステキな誤解をするんです。なんとなく興味があったことが、お金を出して買うことで決定づけられる、というか。だからわざとしてるんですね。

みうらじゅん

いつか興味をもつ日のために、本棚に種をまいておく

そういう本の買い方をすると、何に出会うかわからないからいつもワクワクするんですよ。好きな本は、もう買ってますからね。仏像の本はほとんど持ってるし、『小向美奈子写真集 花と蛇』なんて発売したらすぐ買いに行ったし(笑)。それとは別の、左脳か右脳かどこかで宿便のように残っている何かを、探してるんだと思います。何を好きかなんて、自分ではわからないですから。本屋で背表紙を見て、「ひょっとして」というところに出会いがあるわけで。
僕にとって本は、起爆剤なんですよね。それを入口にして入って、違うところに出たい。『ふぐ調理師入門』を買って、「自分が、どう思うか」っていうことに興味があるんです。まあほとんどが、「いらないんだ」とかそういう感想にはなりますが(笑)、それでもいつなんどき、「ふぐをさばきたい」と思うかわからない。それでとりあえず、本棚に差しておく。急に興味がわいたとき、どこでもドアみたいに入っていけるように、本棚にいろんな種をまいてあるわけです。

本棚って、自分が丸見えになる。でもそれがおもしろい

僕が気になるのは、大概ベストセラーになってない本ですね。たとえば、『地蔵尊の研究』なんて本。地蔵尊だけ研究してる人って、どんな人なんだろうと思うとワクワクするじゃないですか。そもそも、売れてる本に募金しても、その人が遺産相続で困るだけですからね。それよりも「この本は、売れてないだろうな」という本に募金したいと思います。そういう思いは、昔からポリシーとしてありました。あとグラビアの写真集は今でもよく買います。ただ最近は、ほとんど全部DVDになっちゃって。写真集は売れないから、どんどん出版社が出さなくなってるんです。DVDで動いているのを見るより、一枚の写真から妄想するほうが楽しいんですけどね。本好きとしては、さみしいことです。
データは消える可能性があるけど、本は死ぬまでは消えないところがいいですね。小学1年生のときに買った本、まだ持ってますしね。人の家の本棚を見て、「おまえ、こんな本読んでるのかよ」とか言うのも好きだったな。本棚って、自分が丸見えになるでしょ。パンツ干してあるようなもんなんですよね。それが、若い人はイヤなんでしょう。でも、パンツも長いことはいてると、いい味出るんですけどね。履き心地がよくて、嫁に叱られても捨てられないパンツってあるじゃないですか。本もそう。手にとって開いて楽しむこの文化を、誰かが残さないとって思いますね。

みうらじゅん

みうらじゅん
イラストレーターなど

1958年 京都市出身。武蔵野美術大学在学中に「月刊漫画ガロ」で漫画家デビュー。独特の世界観が人気を呼び、イラストレーター、作家、ミュージシャン、ラジオパーソナリティーなど幅広い分野で活動。1997年、自身の造語「マイブーム」が流行語大賞受賞。また一昨年、一大ブームを巻き起こした「国宝 阿修羅像」を記念して発足された「阿修羅ファンクラブ」の会長としても知られる。著書に「アイデン&ティティ」「色即ぜねれいしょん」「ゆるキャラ大図鑑」など。ほか音楽、映像作品も多数。2003年に「アイデン&ティティ」2009年には「色即ぜねれいしょん」が映画化された。

<作品情報>
「ドチャック」 みうらじゅん著
装幀:みうらじゅん 四六判並製 144P 予価900円 1月中旬発売予定

「わしズム」に掲載されたショートマンガを中心に編集。愛嬌と哀愁のとぼけ混合キャラ”ドチャック”が、消えゆく日本の土着性について鋭く追求か!? 著者の新キャラとして今後活躍が期待されるドチャックに注目、いや、顔の真ん中についてるものにも注目!!
※初版限定特典「ドチャックシール」付き!

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