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若者にすすめたい、大人の本3冊 ナビゲーター:タレント ブラザートム

コメディアンとしてデビュー後、バブルガムブラザーズの「Won't be wrong」がミリオンセラーに。その後も舞台、映画、絵本の出版など、ジャンルを越えて活躍しているブラザートムさん。そんなトムさんの人生に深く関わった6冊の本を、2号続けてご紹介します。また、青春時代の読書遍歴や、お気に入りの図書館の話などもうかがいました。

ブラザートムさんの1冊目:『あるいは酒でいっぱいの海』 妄想とブラックユーモアが冴える巨匠の原点

ブラザートム

筒井康隆さんが断筆宣言をする前の短編集で、この本を読んだときは「これほどおもしろいショートショートはない」と思いましたね。とにかく、発想が自由なんです。僕には妄想癖があるんですが、自分が頭の中でクスクス笑いながら考えていたようなドラマが本になってるような感じがして、「世の中にはこんなに想像力豊かな人がいるのか」と悔しくさえ思ったんです。読み始めたのは高校生のときでしたが、それからは小さなことには悩まなくなりました。「悩んでるヒマがあったら、筒井を読んだほうがいい」と思って。後に、高校生になった息子が悩んでいたときも、「そういうときは筒井を読め」ってアドバイスしたんです。ただ息子は、読んだら余計悩んでしまったみたいですけどね(笑)

【作品紹介】
『あるいは酒でいっぱいの海』
SF界の巨匠、筒井康隆の初期ショートショート集。主人公が化学実験でつくった「とんでもないもの」を、父親が海の中に落としたことから、世界中の海が酒になっていく表題作をはじめ、ブラックユーモアが冴える31編を収録。


著:筒井康隆 発売日:1979年4月 出版社:集英社文庫

あるいは酒でいっぱいの海

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ブラザートムさんの2冊目:『ナポレオン狂』 静けさの中に恐怖を潜ませた名短編

ブラザートム

阿刀田高さんの、歌のように流れる文章が好きなんです。筒井さんが「タモリ倶楽部」なら、阿刀田さんは「題名のない音楽会」。筒井さんは夜にこっそりと隅々まで読みたいんだけど、阿刀田さんは週末の朝に読みたい感じなんです。宗教とか、いろんなものが背景に流れているところもおもしろい。そういえば以前、ファッションデザイナーの菊池武夫さんに「今の若者のファッションをどう思いますか?」と聞いたら、「甘いよね、もっと攻撃していいのに」とおっしゃっていて。僕から見たらすごいトラッドなんだけど、そのファッションで菊池さんは攻撃をしかけてる。それが、すごいなと思って。今の小説やアニメとか、一見攻撃的なように見えるんだけど、何十年も前の筒井さんや阿刀田さんたちは、もっと本質的なところで攻撃的だったように思いますね。 現代の若者にも、表面的なところばかりにこだわるのではなく、本当に大事な部分“本質”を大切にして欲しいと思います。

【作品紹介】
『ナポレオン狂』
生涯をかけてナポレオン関係のコレクションを集めている男と、自らをナポレオンの生まれ変わりと信じている男を引き合わせた結末は……。ミステリアスな物語が人間の心の闇を照らし出す、短編小説の名手による代表的作品集。


著:阿刀田高 発売日:1982年7月 出版社:講談社文庫

ナポレオン狂

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ブラザートムさんの3冊目:『小説熱海殺人事件』 舞台人の言葉を集めて、衝撃の舞台を小説化

ブラザートム

自慢なのですが、僕らはつかこうへいさんの初期の舞台を観た最後の世代になるんです。『熱海殺人事件』は20代のとき紀伊國屋ホールで観ました。劇場の通路の座布団席に座っていたら、スポットライトがポンと僕の横に当たったんです。見たら、隣りにいた柄本明さんが立ち上がって、『マイウェイ』を歌い出して・・・。それがあまりにも衝撃的で、それからすっかりハマっちゃったんです。つかさんのお芝居は、稽古をしながら役者にセリフを与える「口立て」で作っていくので、つかさんの言葉というより、舞台人みんなの言葉の集合体なんですよね。本だと、舞台を見るよりもそれがはっきりとわかるおもしろさがある。『熱海殺人事件』の映画を観た後にでも、ぜひ読んでほしいですね。

【作品紹介】
『小説熱海殺人事件』
敏腕刑事の伝兵衛は、若手刑事と婦人警官の助けを借りて、ブス殺しの犯人・金太郎を立派な犯罪者にするため「自白道」を仕込むことに……。初期の代表作である戯曲を、つかこうへい自身が長編小説として書き下ろした意欲作。


著:つかこうへい 発売日:1976年3月 出版社:角川文庫

小説熱海殺人事件

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ブラザートム

読書感想文を書かなくなってから、本を読むようになりました

僕が本を読むようになったのは、読書感想文を書かなくなってからなんです。学校で読まされていた頃は、本が大嫌いでした。そもそも、読書感想文というものを小学生に書かせるのは、間違ってると思うんです。感想というのは、経験があって生まれるものですから。ふつうに生きて、2、3度失恋し、1、2度「死んでしまいたい」と思うような経験をして、はじめて感想が言えると思うんです。僕が、本っておもしろいなと思うようになったのも、そういう経験をしてからでした。

高校生になると、音楽をよく聴くようになって、レコードの歌詞カードを本のように読んだりもしました。吉田拓郎さんの詩なんかは、まさに本のようでね。その言葉たちから、人生の機微に触れたりしていました。それと、ちょっと変わったことをしたがる年頃だから、ケーナ奏者のアントニオ・パンントーハなんかを聴き、ペルー音楽に関する本を読んだりして。そういう誰も読まないような本を読むことが、カッコいいと思ってたんですね。あと、筒井康隆の『笑うな』という本は、標識の中に口だけ描いてある表紙の絵がすてきで。ジャケ買いして、レコードと同じように棚に飾ってましたね。そんなふうに、本と音楽を一緒に楽しんでいたんです。

ブラザートム

人生を変えた、つかこうへい作品との出会い

学校を卒業したあと入社した会社を辞めて、その後もすぐ会社を立ち上げて、結局潰したりしてたんですが、そんなとき手にしたのが城山三郎さんの作品でした。『落日燃ゆ』や『役員室午後3時』あたりを読み始めたら、ハマっちゃって。城山さんの小説の主人公って、男っぽくて、無茶なこともどんどんする。経済小説というより、『サラリーマン金太郎』に近い感じで、すごく楽しく読めたんです。日本を引っ張ってきたたくさんの人たちの思いや、その裏にあるものを知り、ずいぶん勇気づけられもしました。恋をしてはじめて恋のよさがわかるように、挫折してはじめて挫折の重みがわかる。城山三郎さんのおもしろさも、そういう社会経験をして、はじめてわかるものだったんだと思います。

20代の頃は、芝居の本も好きでよく読んでいました。なかでも、つかこうへいさんの衝撃は大きかった。『熱海殺人事件』や『いつも心に太陽を』、『飛龍伝』とかも大好きでした。『飛龍伝』は東大紛争をテーマにした物語なんですが、日本の明日を考えようなんて気持ちがどうでもよくなるくらい、展開がムチャクチャでおもしろいんです。あの頃は、舞台でいうと新宿に紅テント(状況劇場)があったり、つかさんより少し上の世代に三島由紀夫がいたりして、そういう文化がぎゅっとねじれた瞬間でした。ちょうどその頃、渋谷でウロウロしてた僕らは、そんな方々に憧れていたんです。特につかさんの存在は、舞台のあり方も変えたけど、僕の人生も大きく変えましたね。この世界で、舞台の中で、生きようと思い、東京に出てくるきっかけになったんです。

ブラザートム

ブラザートム

図書館にも、それぞれ個性があっておもしろい

それからはもう、手当たり次第です。一時期は、箸の裏でも読んでないとイライラするくらい、なんでも読むようになりました。あと僕は図書館を利用することも多くて。図書館って、端から見ていくと、わけのわからないものがいっぱいあって、いいんですよ。近くにある世田谷の深沢図書館は、仏教系の駒沢大学がすぐそばなんで、石地蔵の本とか、こんなの誰が読むんだと思うような本があるんです。あと日体大も近いので、やたら筋肉ものが多いし、近所に『ぐりとぐら』の作者の方が住んでいらっしゃるせいか、児童書もすごく充実してる。仏教と筋肉と『ぐりとぐら』が、いっぺんに見れちゃうんです。これが中央図書館に行くと、きれいに収まってはいるけど、読む人のことはなんにも考えてない配列で、「ああ、これが中央の考え方なんだな」って思ったり(笑)。図書館にもそれぞれ個性があって、すごくおもしろいんですよね。

ブラザートム

ブラザートム
タレント

1956年ハワイ州マウイ島生まれ。1980年、「お笑いスター誕生!!」(NTV)にて警官コントで華々しくデビューすると、1983年にBubble Gum Brothersを結成。1991年にはNHK紅白歌合戦に初出場する。その後、1996年に新バンドREAL BLOODを結成。その他、2000年にオリジナルミュージカル『Miracle Brind Boys』を上演、昨年は自身初の読み聞かせ絵本「月から落ちたモモンガ」を発売し、読み聞かせライブを行うなど、ミュージシャンとしての顔以外にも作家、俳優、タレントなど幅広い芸域で活躍中。なお2008年にBubble Gum Brothersを再結成、精力的にライブ活動を行っている。

ブラザートムさんの最新情報
<ライブ情報 >
■ブラザートム ソロライブ
3月14日(月) 
代官山 「晴れたら空に豆まいて」 03-5456-8880
Oren 18:30 Start 19:30 前売り¥3000 当日¥3500

■REAL BLOOD ライブ
5月25日(水)
目黒 「ブルースアレィジャパン」 03-5496-4381
Open 18:30 Start 20:00 料金¥6000

■Bubble Gum Brothers ライブ
「DA BUBBLE GUM BROTHERS SHOW」
3月6日(日)
六本木「スイートベイジル STB139」 03-5474-0139
1st 開場15:00/開演16:00、2nd 開場18:30/開演19:30
※入替制の2回公演です。

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