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世の中の見え方が変わる3冊。 ナビゲーター:フリーアナウンサー 住吉美紀

世の中の見え方が変わる3冊。 ナビゲーター:フリーアナウンサー 住吉美紀

NHKのアナウンサーとして「紅白歌合戦」の総合司会や、「プロフェッショナル 仕事の流儀」のキャスターを務めるなど、数々の名番組を担当されてきた住吉美紀さん。今年の春からフリーに転身し、更なる活躍が期待される住吉さんに、自身が影響を受けた本について紹介して頂きました。また子供時代の海外生活や、その過程で培った読書スタイルについてもお聞きしました。

住吉美紀さんの1冊目:『AIN’T I A WOMAN black women and feminism(邦題:アメリカ黒人女性とフェミニズム)』自分らしい“視点”をくれた1冊。

住吉美紀さんの1冊目

大学時代、フィリピン系アメリカ人の教授のゼミで政治学を勉強していたのですが、その教授に薦められて読んだ本です。課題として読みはじめたのに、すっかり個人的に共感し、著者のベル・フックスのほかの作品も取り寄せました。結局そのころ出版されていた彼女の本は一通り読み、卒論も彼女の作品をテーマに書きました。
この本では、アメリカ南部に育った黒人女性であるベル・フックスが、自身も受けてきた差別などの経験を踏まえ、人種差別や性差別、階級社会について論じています。人々が差別や偏見はないと思っていても、いかにそれが社会のしくみに染み込んでしまっているか、気づかぬうちに個々の日常生活に入り込んでいるかを指摘しています。
私の心を捉えたのは、彼女のあまりに個人的な視点や書き方。ふつう社会問題を論じるときは、大きな視点から、国、社会システムや制度、過去にあった事件などを検証していくと思うのですが、ベル・フックスは違う。“私は”の一人称から始まるんです。彼女自身の生活や経験を題材にし、曝け出し、それを客観的に見つめて検証することで、社会の問題に真っ向から挑んでいる。まるで独白書!たとえば、フェミニストと名乗りながらも、男性からキレイに見られたいとハイヒールを履く自分にふと気づく。あるいは、人によく思われようと、甘え上手な女性を演じている自分に気づく。実は、フェミニズムと反対の価値観に無意識に同調している自分がいるのではないか? そんな風に自分をチェックする“批評的意識”を持って日常を見つめると、無意識の価値観がたくさん見えてくると、ベル・フックスは自らの声で語っているんです。
己を曝け出しているからこそ、政治論も綺麗ごとでなく、嘘がなく、信頼できる。私もそうありたいと思うようになりました。実際アナウンサーとして仕事をする中で、「いま綺麗ごとを論じていないか?」とか「自分を棚にあげて語っていないだろうか?」「ちゃんと自分を曝け出してリアルを追求している?」などと常に自己問答しているのですが、完全にベル・フックスの影響です。
大学当時はいずれ私がこの本を翻訳して、日本の友達にも読んでもらいたいと思っていた一冊です。今は明石書店さんから和訳されたものが出版されていますので、ぜひ一人でも多くの方に読んでいただきたいです。

【作品紹介】
『 AIN’T I A WOMAN black women and feminism 』
黒人女性が受けた人種差別と性差別という二重の抑圧を告発し、中産階級の白人女性を偏重してきたフェミニズムに一石を投じる。「女性」が一枚岩でないこと、階級と人種をも考察すべきであることを指摘し、フェミニズムのその後の方向性に影響を与えた古典的名著。


著:Bell Hooks  発売日:1997年7月  出版社:South End Pr

AIN’T I A WOMAN black women and feminism

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日本語版
『アメリカ黒人女性とフェミニズム』


監訳:大類 久恵 翻訳:柳沢 圭子 発売日:2010年10月 出版社:明石書店

アメリカ黒人女性とフェミニズム

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住吉美紀さんの2冊目:『THE CELESTINE PROPHECY(邦題:聖なる予言)』日常をワクワクした気持ちで送れるようになる1冊。

住吉美紀さんの2冊目

これは4年くらい前に知人に薦められて出会った本です。日本語訳『聖なる予言』も出版されていますが、原語で読みたいと思い、英語版を読みました。南米ペルーで、人類のこの先の“進化”についての知恵が書かれている古文書が発見され、なにかに導かれるように主人公がそれを現地に探りにいくと……というアドベンチャー小説です。古文書の内容が少しずつ明らかになっていくと、「あ、私が普段から薄々感じていたようなことと同じだ!」と興奮させられ、どんどん惹き込まれました。たとえば、「日常で起こる偶然や人との縁といったものが、実はただの偶然ではなく意味のあるサインで、そこに導かれるように進んでいけば自ずと人生は展開していく」ということが書かれていますが、私自身すでにそういう人生観を持っていたので「わかる、わかる!」と強く共感しました。
フィクションとして書かれているけれど、「人類はこういう方向に本当に進化していけるかもしれない」と啓発されるところがあり、本を離れて現実に戻ってからも、自分の人生にどんな偶然や出会いがやってくるのかワクワクする感覚になります。そして、なんだか希望が湧く。震災後、思うところあって読み直していたのですが、私たちがこれから何を重視し、選び、進んでいくかなど、考える種を与えてくれました。
ちなみに、これは「The Tenth Insight: Holding the Vision(邦題:第十の予言)」、「The Secret of Shambhala: In Search of the Eleventh Insight(邦題:第十一の予言-シャンバラの秘密)」など、4冊のシリーズになっていますが、どれもハマりました。

【作品紹介】
『THE CELESTINE PROPHECY 』
南米ペルーの森林で、古代文書が発見された。そこには、人類永遠の神秘、魂の意味に触れた深遠な九つの知恵が記されているという。私は、なにかに導かれるように、ペルー行きの飛行機に飛び乗った。偶然とは思えないさまざまな出逢いのなかで一つずつ見いだされる九つの知恵とは。世界的ベストセラーとなった魂の冒険の書、待望の文庫化。


著:James Redfield  発売日:1997年9月  出版社:Grand Central Publishing

THE CELESTINE PROPHECY

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日本語版
『聖なる予言』


翻訳:山川 紘矢  翻訳:山川 亜希子  発売日:1996年6月 出版社:角川書店

聖なる予言

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住吉美紀さんの3冊目:『動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか』生きていることの不思議を再発見出来る1冊。

住吉美紀さんの3冊目

著者の福岡伸一さんの本の中では、『生物と無生物のあいだ』に続いて手にした本です。「生きていることと死んでいることの究極的な境はどこにあるのか?」「生命とは何か?」ものすごく興味ある問いですよね。この問いの答え、つまり、福岡さんが分子生物学の分野で研究されてきたことを、科学の専門家でなくても分かるように平易に、かつ興味深く書いてらっしゃる。
この『動的平衡』では、“変わらないようにみえるものでも、実は常に変化している”ことを説いています。私たちの身体の細胞内の分子は、食べたものの分子とどんどん入れ替わりつづけています。入っては出てと、まるで川のように流れつづけている。ですから、実体のあるしっかりしたものに思えている私たちの身体は、流れつづけている分子がたまたま密度高く、一時的に集まっている“淀み”に過ぎないと、福岡さんは書いています。つまり、半年くらい人に会わないと体内すべての分子が入れ替わっているわけだから、「お変わりありませんか」どころでなく「お変わりありまくり」だと(笑)。福岡さんは、そういう表現がまたお茶目でおもしろい。でも、そうやって変わりつづけているからこそ、私たちは生きつづけていられるそうなんです。そして、そんな流れの中で、サプリやダイエットなど食事が具体的にどう身体に影響してくるのかなど、実用的な内容も盛りだくさんです。
しかし、身体が、“ただの淀み”ですよ!儚い!それなのに、私たちには心があり、意識があり、「自分」という、ずっと変わらないように感じられる思考があり……不思議です。読みながら、本を持つ自分の“生きている”手を眺めるだけで、気持ちが高ぶりすぎてページがめくれなくなるときもあったほど、生きていることへの感動が大きくなりました。そして、淀みというほどの微細なバランスの上に成り立っているものだからこそ、生きている時間を大切にしなくちゃということも、この本を通して強く感じました。

【作品紹介】
『動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか』
生命とは、絶え間ない流れの中にある動的なものである。読んだら世界がちがってみえる。哲学する分子生物学者が問う「命の不思議」。今まで体験したことのないサイエンス・ストーリー。


著:福岡伸一 発売日:2009年2月  出版社:木楽舎

動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか

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有村昆

住吉美紀
フリーアナウンサー

1973年4月5日生まれ。国際基督教大学(ICU)卒業。1996年 アナウンサーとしてNHK入局。「第58回NHK紅白歌合戦(2007)」では総合司会を務め「プロフェッショナル 仕事の流儀」、「スタジオパークからこんにちは」などの人気番組を担当。2011年4月よりフリーに。 小学校時代はアメリカ・シアトル、高校時代はカナダ・バンクーバーで過ごした経験から英語を生かした海外取材や中継も多くこなす。好奇心旺盛で型にはまらないキャラクターが人気。

衣装
シャツ:Lois CRAYON ¥15,750(税込)  株式会社クレヨン TEL03-3709-1811

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