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現役女医が推薦 医学の世界が覗ける3冊 ナビゲーター:内科医・作家 おおたわ史絵

現役女医が推薦 医学の世界が覗ける3冊 ナビゲーター:内科医・作家 おおたわ史絵

医師としての知識・経験を踏まえたキレのある発言で、テレビやラジオでおなじみのおおたわ史絵さん。現役の内科医でもあるおおたわさんに、医学の世界を知る足がかりとなる3冊の本を教えてもらいました。またご自身の愛読書や、健康と読書の関係についてもうかがいました。

おおたわ史絵さんの1冊目:『平然と車内で化粧する脳』

おおたわ史絵

『ホンマでっか!? TV』でご一緒している脳科学者の澤口俊之先生の本です。私はこの本を12年前に読んでいたので、まさかこうして先生とテレビで共演することになるとも、先生があんなに滑舌の悪いワカランチンだとも思ってなかったんですが(笑)でもこれが、すごくいい本なんです。電車の中でメイクをする女の子という社会現象を、脳科学の視点から分析しているんですが、生徒の南伸坊さんにレクチャーする対談形式なので、人間の脳の仕組みがすごくわかりやすく書かれています。普段意識しないけれど、人が何か考えたり、感じたり、行動したりする、そのすべてが脳主導で行われているんですよね。そのことを教えてくれる本なんです。脳科学の進歩は早く、今は当時と違う学説も多々出てきていると思いますが、脳と自分との関わりを知る最初の一冊としておすすめです。

【作品紹介】
『平然と車内で化粧する脳』
電車の中で化粧したり、人前でイチャついたり。脳科学の鬼才・澤口俊之が南伸坊を生徒に迎えて、不可解な若者たちの行動を脳科学の視点から読み解き、わかりやすい言葉で伝えた、脳への好奇心をかきたてる脳科学講義。


著:澤口俊之、南伸坊 発売日:2000年9月 出版社:扶桑社

平然と車内で化粧する脳

おおたわ史絵さんの2冊目:『空中ブランコ』

おおたわ史絵

奥田英朗さんの小説が大好きで、よく読んでいます。主人公のドクター伊良部という精神科医は破天荒なキャラクターなんですが、軽い精神疾患を抱える患者さんたちは、どこにでもいそうな人ばかりなんですね。そんな患者さんたちを、伊良部先生が治療するでもしないでもなく、のらりくらりかわしながら対処するんですが、それがナンセンスな話の連続ですごくおもしろくて。救いのある終わり方からも、精神の病いには悪い面ばかりでなく、そこから得るものがあるんだなって思えてくる。素晴らしい、誰が読んでもおもしろい小説だと思います。医療をテーマにした小説は、自分との理論の違いや実際の医療の現場との違いなど細かなアラとかが気になるので、ほとんど読まないんですが、奥田さんの作品は違和感なく楽しめる。たぶんすごく調べて書いてらっしゃるんだと思います。

【作品紹介】
『空中ブランコ』
跳べない空中ブランコ乗り、先端恐怖症のやくざなど、悩める患者たちを病室で待ち受けていたのは、色白でデブなトンデモ医師・伊良部一郎だった。精神科に集まる人々の人間模様を軽妙に描き人気を集めた、直木賞受賞作。


著:奥田英朗 発売日:2004年4月 出版社:文藝春秋

空中ブランコ

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おおたわ史絵さんの3冊目:『アルジャーノンに花束を』

おおたわ史絵

医学の世界はどんどん進化して、人間はもう生死のコントロールすら手中におさめようとしています。でも私自身は、その進歩をどこか疑問視しているところがあって。どこまで人間は人間をコントロールしていいのか……。この本は、そんな人間の根源に関わる問題をテーマにした名作だと思います。主人公のチャーリイがネズミのアルジャーノンと同じように、知能が高くなる手術を受けるのだけど、やがて退行が始まってしまう。その過程が、主人公の報告書の形で書かれています。この本は私が医者になってから、医療が進化へと突き進んでいく過渡期に読んだので、余計に引っかかり続ける本になって。最終的にすべての自由が手に入り、精神も肉体もコントロールできるようになったとしたら、そこに人間の幸せはあるのか。そのことを強く考えるきっかけになった本でした。

【作品紹介】
『アルジャーノンに花束を』
32歳で幼児の知能しかなかったチャーリイは、ハツカネズミのアルジャーノンと同じ脳手術を受け、天才に変貌するのだが……。超知能を手に入れた青年の愛と苦悩、喜びと孤独を描き、大きな感動を呼んだ世界的ベストセラー。


著:ダニエル・キイス 訳:小尾芙佐 発売日:1989年4月 出版社:早川書房

アルジャーノンに花束を

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おおたわ史絵

おおたわ史絵
内科医・作家

東京下町出身。東京女子医科大学卒業後、大学病院、総合病院を経て下町の医師の道を選ぶ。現在も日常の診療のほかに聾唖者医療やボランティア山岳医療にも携わる。1996年、週刊朝日「デキゴトロジー」にて執筆活動を開始。2005年には、医学生時代からの半生を綴ったエッセイ『女医の花道!』を出版してベストセラーになる。2012年1月12日に『今日のうんこ』(文芸社)を上梓した。

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