本文へ

製品情報>“VAIO”>My VAIO>My VAIO MAGAZINE>Book>年間300冊以上の本を読破する女優・中江有里が選ぶお気に入りの本

My VAIO MAGAZINE

年間300冊以上の本を読破する女優・中江有里が選ぶお気に入りの本 ナビゲーター:女優・脚本家 中江有里

年間300冊以上の本を読破する女優・中江有里が選ぶお気に入りの本 ナビゲーター:女優・脚本家 中江有里

NHK-BSの長寿番組「週刊ブックレビュー」の司会を務め、また脚本家、小説家としても活躍するなど、芸能界の中でも本読み巧者として知られる女優の中江有里さん。そんな中江さんのお気に入りの6冊を、2号続けてご紹介します。前編では中江さんの幼い頃の読書体験や本の選び方、脚本家として「書く」ことの楽しみについてうかがいました。

中江有里さんの1冊目:『努力しないで作家になる方法』

中江有里

作家を目指した事がある人、私の周囲にもけっこういます。そんな人がきっと気になると思うのがこの本です。作家志望の主人公は、ある日、同僚を殴って会社をクビになり、妻に泣きつかれて夢をあきらめようとします。でもやっぱり「僕には小説しかない」と再び小説家を目指すのですが、夢は叶わず、生活は苦しい。その繰り返しがずっと綴られた小説です。おおかた鯨さんの実体験であろうと思う生々しい内容で、このタイトルは、嘘というかもう真逆(笑)。こんなに努力しても作家になれないのか、という話なんです。でも話は暗いけれど、悲惨さはそんなに感じなくて。自分に才能があると信じているけど、そのかたわらには、勘違いかもしれないと思う自分もいる。そうして悪戦苦闘する主人公の姿が胸を打つ、まさに小説らしい小説だと思います。

【作品紹介】
『努力しないで作家になる方法』
主人公の伊留香総一郎は32歳、妻子あり。小説家になるべく雑誌に投稿を続けるが、何年経っても結果が出ず、さらに会社もクビになり、いよいよ追いつめられていく。覆面作家・鯨統一郎がデビュー秘話を明かした自伝的小説。


著:鯨統一郎 発売日:2011年6月 出版社:光文社

努力しないで作家になる方法

amazonで購入

中江有里さんの2冊目:『寒灯』

中江有里

私は西村さんの作品をデビューの頃から読んでいて、昔から「この人、相当ヘンな人に違いない」って注目してたんです。主人公の北町貫多は、明らかにご自身がモデルなんですが、その自虐的なところ、変人ぶり、へそ曲がりぶりがすごい(笑)。フィクションかもしれませんが、惨めで酷い生活をさらけだし、それを読ませてしまうところが素晴らしく、もう芸の域になっている。ここまでヘンを超越すると、逆に気持ちいい。あと、「根がスタイリストにできている」とか、著者独特のフレーズもおもしろくて。主人公は変人だけど、どこか自分にも通じるところがあるような気がするし、この先、彼がどうなるのかも興味がありますね。貫多とは友だちにはなりたくないけれど、それでも本は読めるじゃないですか。そういう意味でも、本はすごくいい距離感で人間が見えるものなんですよね。

【作品紹介】
『寒灯』
2011年芥川賞受賞作『苦役列車』に続く、シリーズ最新作。貧乏作家の貫多は、恋人・秋恵と同棲生活をはじめる。初めて恋人と迎える正月に「非常なときめき」を感じていた貫多だが、また短気を起こして新生活に暗雲がたちこめる…


著:西村賢太 発売日:2011年6月 出版社:新潮社

寒灯

amazonで購入

中江有里さんの3冊目:『二流小説家』

中江有里

これは昨年の海外翻訳ミステリーのベストセラーになった本なので、ご存じの方も多いのではないでしょうか。主人公の二流小説家、ハリー・ブロックは、あるとき連続殺人犯から告白本を書いてくれと頼まれる。一躍有名になれるチャンスと、服役中の犯人に会いに行くわけですが、そこからページをめくる手が止まらなくなるんです。あとおもしろかったのが、作中作として本文の中に突然出てくる、主人公が書いている小説です。この小説が、またよくできていて。こんなにおもしろいものが書けて二流なら、自分なんてどうなっちゃうんだろうとショックを受けるんですけどね(笑)。とにかく構成も設定も、抜群に巧い。ミステリーの世界ではいろんな手法がやり尽くされているのに、こういう手もあったのかと驚きました。結末までノンストップ、まさにページターナーといえる本です。

【作品紹介】
『二流小説家』
ハリーは、ホラー、ポルノ、SFなどなんでも請け負う中年作家。あるとき連続殺人鬼から告白本の執筆依頼を受けて、一流作家になるチャンスをつかむが……。ハリー同様に、さまざまなキャリアを積んできた著者のデビュー作。


著:デイヴィッド・ゴードン(著)、青木千鶴(訳) 発売日:2011年3月 出版社:早川書房

二流小説家

amazonで購入

中江有里

中江有里
女優・脚本家

1973年大阪生まれ。89年芸能界デビューし、多数の映画、ドラマに出演。2002年「納豆ウドン」で第23回BKジオドラマ脚本懸賞最高賞受賞。著書に小説「結婚写真」(小学館文庫)。NHK-BSプレミアム「週刊ブックレビュー」司会(2004年4月〜2012年3月)。現在、毎日新聞東京版「ホンのひととき」、雑誌「週刊エコノミスト」(毎日新聞社)で本のエッセイを連載中。読書家としても知られる。デジタル野性時代にて小説「ティンホイッスル」連載中。

他カテゴリの記事を読む

ページトップへ