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芸能界きっての読書家 女優・中江有里が選ぶ紙ならではの本 ナビゲーター:女優・脚本家 中江有里

芸能界きっての読書家 女優・中江有里が選ぶ紙ならではの本 ナビゲーター:女優・脚本家 中江有里

芸能界の中でも本読み巧者として知られる女優の中江有里さん。今年から造本装幀コンクールの審査員としても出版文化に関わることになった中江さんに、紙の本のよさが愉しめる3冊の本を教えてもらいました。また、中江さんの読書スタイルや物語の魅力についてもうかがいました。

中江有里さんの1冊目:『おかしな本棚』

中江有里

ここ数年、出版界の電子化は破竹の勢いで進んでいます。私自身も電子化には賛成で、いつでもどこでも、思い立ったら即、本が買える環境は素晴らしいと思います。でもかたや一方であの紙のにおいが無くなってしまうのも寂しいな、と思っていて。タイトルによって、こっちは電子版で、こっちは紙でと買い分けるのがよいかと思います。なかでも最近、「これは紙で読まないと!」と思ったのがこの本です。著者の吉田さんの書棚を写真と文章で紹介した本なんですが、吉田さんはこの本を全部は読んでないそうです。吉田さんは本棚を、「まだ読んでいない本を、その本を読みたいと思ったときの記憶と一緒に並べておくものだ」と書いてらして。私自身も、買ったままで読んでない本がけっこうあるんですが、実は本って「これ読みたいな」と思った瞬間が、一番楽しいんですよね。その時間が、この本には詰めこまれている。だからこの本を見ていると「これもいいな」「あれも読みたい」って飽きないんです。本棚に、一人の人が集めたいろんな本の背表紙が並んでるだけなのに、そこに世界がある。この本を読んで、本の魅力って本そのものにあるんだなと改めて思いました。

【作品紹介】
『おかしな本棚』
夫婦でデザイン、アートワークを手がけ、多くの著作を持つクラフト・エヴィング商會。その夫で、作家でもある吉田篤弘が、本を「金曜日の夜の本棚」「読めない本棚」といったテーマごとに集めて写真に収め、文章を添えた「本棚の本」。


著:クラフト・エヴィング商會 発売日:2011年4月 出版社:朝日新聞出版

おかしな本棚

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中江有里さんの2冊目:『みさおとふくまる』

中江有里

おばあちゃんの「みさお」さんと猫の「ふくまる」。その一人と一匹の軌跡を、孫で写真家の伊原美代子さんが撮った写真集です。このふくまるが、おばあちゃんと同じ格好をしていたり、手の感じも似てたり、どこか人間ぽくてとにかくかわいいんです。ごく普通の光景なんですが、この写真を見ていると、ふたりがいつもこうして一緒にいるんだなということが、言葉がなくても感じられる。ほんとに素敵な、大好きな写真集です。それとこの本は、見返しがブルーとイエローの2色になっているんですが、これは左右で違うふくまるの目の色をイメージしていて。紙の質感・本の造り方にもこだわりがあり、そこに作り手の愛がつまっているんです。こういった風情は紙ならではですよね。最後のページに、拾われたばかりの頃の小さなふくまるがモノクロの写真で収められている構成もよくて。胸がキュンってしちゃいました。

【作品紹介】
『みさおとふくまる』
「おばあちゃんの生きた証を残したい」。そんな思いで、10年以上前から祖母の撮影をはじめた著者。87歳になっても毎日、畑へでかけるおばあちゃんと、そのお伴をするふくまる。その姿が、なんでもない日々の尊さを伝える写真集。


著:伊原美代子 発売日:2011年10月 出版社:リトルモア

みさおとふくまる

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中江有里さんの3冊目:『十階 短歌日記2007』

中江有里

歌人で小説家の東直子さんが、2007年1月1日から12月31日までの1年間、一日一句、短歌を詠んで短いコメントを付した短歌日記です。だから2007年の今日はどんな短歌を詠んだんだろうとか、どこからでも、何回でも読める。そういう、検索できないところがいいんです。私は昔から、辞書を好きなところを開いて読むのが好きだったんですが、これもそういう偶然の出会いが楽しめる本なんですね。薬箱みたいな感じ、というか。ちょっと気分が落ち込んでるなと思ったときにパラパラとページをめくり、「文字のある紙をさかさに読んでいるようにみるものすべて不可解」なんて短歌を見つけると、今の自分に響き合うところがあって、本が答えてくれたような気がする。そういう偶然のような必然を、私はけっこう信じていて。そんな出会いには、やっぱり紙の本がふさわしいように思います。

【作品紹介】
『十階 短歌日記2007』
丘の上の建物の十階に住み、そこで過ごした日々のエピソードを、短文と「やさしくて、透明感のある」(中江)短歌にしたためた短歌日記。「手に収まる美しい本で。台所とかに置いて、気付いたときにふと開いてみるのもいいと思います」


著:東直子 発売日:2011年1月 出版社:ふらんす堂

十階 短歌日記2007

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中江有里

中江有里
女優・脚本家

1973年大阪生まれ。89年芸能界デビューし、多数の映画、ドラマに出演。2002年「納豆ウドン」で第23回BKジオドラマ脚本懸賞最高賞受賞。著書に小説「結婚写真」(小学館文庫)。NHK-BSプレミアム「週刊ブックレビュー」司会(2004年4月〜2012年3月)。現在、毎日新聞東京版「ホンのひととき」、雑誌「週刊エコノミスト」(毎日新聞社)で本のエッセイを連載中。読書家としても知られる。デジタル野性時代にて小説「ティンホイッスル」連載中。

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