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女優・酒井若菜が語る、本と私の深い関係 ナビゲーター:酒井若菜

女優・酒井若菜が語る、本と私の深い関係 ナビゲーター:酒井若菜

今年2月に映画『遺体 明日への十日間』の公開を控え、ますます女優として磨きのかかる酒井若菜さん。2008年には小説『こぼれる』を、昨年はエッセイ『心がおぼつかない夜に』を上梓。「本がなければ、生きていけなかったかも」と語るほど活字を愛する酒井さんに、本に寄せる深い思いについてうかがいました。

酒井若菜さんのおすすめ6冊

『相田みつを ザ・ベスト』相田みつを

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小説

『相田みつを ザ・ベスト』相田みつを

私は相田みつをさんと同じ栃木出身なんですが、小学校にも中学校にもみつをさんの詩が貼ってあったし、家にもカレンダーやポストカードがいっぱいあって。そういう環境で育ったので、ずっと身近に感じていました。19歳で上京し、まわりに友だちが誰もいなかったときも、よく当時銀座にあった相田みつを美術館を訪れていて。活字が友だちだった私にとって、みつをさんの言葉に会いに行けるその場所が、唯一の安心できる場所だったんです。みつをさんの言葉を朗読するお仕事をしたことから、息子さんの一人さんと年賀状のやりとりもさせていただいていて。子どもの頃から現在まで、当たり前のようにそばにいてくれる存在なんです。

『三三七拍子』爆笑問題

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エッセイ

『三三七拍子』爆笑問題

太田光さんは、私の一番好きな作家さん。小説ももちろんですが、『パラレルな世紀への跳躍』やこの本のようなエッセイも大好きで、家用や持ち歩き用に4冊ずつくらい持っています(笑)。この文庫版のあとがきで太田さんは、「青臭い本だと思うけれど、あのときには必要だった」というようなことを書かれていて。そんな経験が、『マボロシの鳥』や『文明の子』という小説に結びついているんですよね。私も「昔の自分って、青臭かったな」と思うんですが、こうして太田さんの本に共鳴できるということは、今は感性が育っているところで、いつかこういう本に追いつけるような筆力と感性を得られるのかもしれない。そんな希望を感じさせてくれる本なんです。

『パンドラの匣』太宰治

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小説

『パンドラの匣』太宰治

太宰治や芥川龍之介も大好きで、何回も読み返しています。なかでも好きなのが『パンドラの匣』です。私は太宰って、ジメジメしてるイメージがあって、ちょっと倦厭してたところがあったんです。でもこの本を読んで、「ユーモアの人なんだ」と気付いて。もちろんジメッとした作品も、徹底してジメッとしていておもしろいんですが、そういう暗さと滑稽さという人間の落差を描いているのが、太宰のおもしろさだと思うんですね。そんな太宰のユーモア感覚が、存分に活かされてるのがこの本のように思います。今は珍しくないけれど、書簡のスタイルをとった小説というのも、きっと当時は斬新だったんじゃないかな。そんな想像をするのも、楽しいですよね。

『羅生門・鼻・芋粥』芥川龍之介

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小説

『羅生門・鼻・芋粥』芥川龍之介

私は落語も好きなんですが、「落語っぽくておもしろいな」と思ったのが「鼻」です。発想はすごいんだけど、ユーモアもたっぷりで、何度読んでも楽しめる普遍的なおもしろさがある。でもシニカルな、芥川イズムも感じられて。ほんとに、「この人の頭の中、どうなってるんだろう?」と思えてくる作品だと思います。芥川の作品では、「芋粥」や「蜘蛛の糸」も好きです。「蜘蛛の糸」は教科書では読んでいたんですが、大人になって改めて読んでみたらすごくおもしろかった。文庫で8ページほどのすごく短いお話ですが、これを読むと、「教科書に載る作品は、間違いなくおもしろい」ということがよくわかる。もう一度、読書のために教科書を読んでみたくなりました。

『ONE PIECE』尾田栄一郎

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コミック

『ONE PIECE』尾田栄一郎

『ONE PIECE』を読み始めたのは、ある現場でみんなが『ONE PIECE』の話で盛り上がっていて、「コミュニケーションが取れない!」と思ったことがきっかけでした。でもこれが、衝撃的なおもしろさで。それまでみんなに「人生の半分、損してるよ」と言われても「おおげさだよ」と思ってたんですが、読んでみて「損してた!」と思いましたね(笑)。これが今、日本で一番愛されているマンガだと思うと、「日本っていいなあ」とも思えてくるんです。電子書籍だとカラーで見られるんですか? えーっ、すごい! 実は私、本の匂いや感触が大好きだから、電子書籍にはちょっと抵抗があったんですが……それを聞くと、買わないわけにはいかないですね(笑)。

『遺体─震災、津波の果てに』石井光太

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ノンフィクション/ドキュメンタリー

『遺体─震災、津波の果てに』石井光太

実は、この原作は読んでいなくて。というのも私、シリアスな役を演じるとプライベートに支障をきたしてしまうタイプなんですね。それで監督とも相談して、あえて読まなかったんです。この物語は、東日本大震災の犠牲者の遺体安置所にいた人たちのお話です。報道の方たちのお話をうかがうと、犠牲者や行方不明者のことは伝えられたけれど、生き残った被災者のことは十分に伝えられなかったという思いがすごくあったそうです。そういう部分はエンターテインメント、映画というかたちで知ってもらうべきだなと思って。そんな作品であればぜひ関わりたいと思い、出演を決めました。この物語を、あのことを忘れてしまいそうな距離にいる人たちに伝えられたらと思っています。

Interview

酒井若菜

紙をパラパラとめくる音や感触、匂いとかも大好きなんです

本は、物心ついたときから大好きでした。親に「好きなものを買ってあげる」と言われると、ぬいぐるみでもおもちゃでもなく、いつも絵本を選ぶような子だったんです。小中学生の頃も、いつも図書室にいましたね。たぶん学校で一番、図書カードに名前が残っていたんじゃないかな。その頃は、相田みつをさんや星野富弘さんの詩集が好きで、よく読んでいました。すごく多感な子どもだったんですが、悩みを話す相手がいないときも、本の中の言葉が私の気持ちを代弁してくれて、そばで支えてくれたんです。

小説を読むようになったのは、高校生の頃からです。東野圭吾さんや綾辻行人さんはひととおり読んだし、司馬遼太郎の『龍馬がゆく』も何度も読みました。いろんなジャンルの本を読みますが、自分の中で流行があって。ミステリーのときはミステリー、時代小説のときは時代小説ばかり読んでいます。あと、最近になって目覚めたのがマンガです。それまでまったく読んでなかったんですが、『ONE PIECE』や『よつばと!』を読み「マンガって、なんておもしろいんだ!」とやっと気付きました。セリフ覚えが大変で活字から少し離れたいときには、画集や写真集もよく見ます。とにかく紙をパラパラとめくる音や感触、匂いとか、そういうモノとしての本がすごく好きなんです。

酒井若菜

悩んだり傷ついたりしたときに、本が救ってくれました

たくさん本を読むうちに、自分でも「書いてみたい」と思うようになって。20歳頃から、童話やエッセイのようなものを書くようになりました。だから『こぼれる』『心がおぼつかない夜に』という2冊の本を出したときは、すごくうれしかったんです。よく作家の方が、作品を「生む」という表現をされますが、その気持ちがよくわかりましたね。ほんとに子どものよう。私にとって、大切な宝物です。自分で文章を書くようになって、本の読み方も変わりました。『こぼれる』という小説を書いたとき、一番難しかったのが情景描写でした。小説を流して読んでいると気付かないけれど、たとえば登場人物がどんな顔立ちで、どういう街に住んでいるといった表現って、すごく難しいんですよね。そういうことがわかるようになって、脚本家の方を改めて尊敬しました。以前は、脚本を読んで「こんな言い方しないよ」と思うようなこともあったけど、今は極力、一字一句まで尊重するようにしています。

『心がおぼつかない夜に』はブログを元にしたエッセイです。私のブログの読者の方からのメッセージって、「応援してます!」というものよりも、「こんなことがあって今、とても辛いんです」といった悩み相談がほとんどなんです。それで、誰かの悩みに寄り添えるような本にしたいと思ったんです。だからこの本では、毒を吐いたり、辛かった思いを告白するようなこともしていません。そういう体験って、具体的に書かなくても活字に滲むものだと思うから。そうではなく、傷ついて誰にも話ができずにいる人が読める、優しい、刺激のない本にしようと思ったんです。私自身も悩んでいたときたくさんの本に救われたので、そんな本を、今度は自分が作りたかったのかもしれませんね。

酒井若菜

酒井若菜
女優

ドラマ・映画に幅広く出演。ドラマ『木更津キャッツアイ』や『シングルマザーズ』、映画『恋の門』『白磁の人』など数多くの作品に出演している。映画『遺体〜明日への十日間』が、2月23日より全国公開予定。2008年には初の著書「こぼれる」、2012年にはエッセイ集「心がおぼつかない夜に」を発売している。

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