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Vol.4 中村佑介 人気イラストレーターが語る、ベストセラーの装画の秘密

  • Vol.1 吉木りさ
  • Vol.2 橋本愛
  • Vol.3 前園真聖
  • Vol.4 中村佑介

中村佑介

ReaderアプリのXperia™対応を記念して、4回にわたって本好き著名人にその世界を体験していただく本企画。最終回を飾るのは、この人に表紙を任せた作品は必ずベストセラーになると言われ、業界を中心に絶大な人気を誇るイラストレーターの中村佑介さん。彼の作品の持つ独特な世界観は多数のファンを抱え、またASIAN KUNG-FU GENERATIONなど国内外の人気アーティストのCDジャケットや、書籍の装画も手掛けていることで、ファンならずとも彼のイラストを目にする機会も多いはず。そんな中村さんの読書にまつわるエピソードや、イラストの秘密について伺いました。

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日本を代表する装画家・中村さんに、イラストを描く際の話を教えていただきました。

文章に絵をつける作業は、パズルを崩して単純化するイメージ

僕が本の表紙を描くときは、その本が本屋さんの売場に置かれ、お客さんが本の前を通って手に取り、買って、読み終わり、もう一度表紙をパタンと閉じるところまでをシミュレーションしています。そのすべての段階で、「持っててよかった」「ずっと手元に置いておきたい」と思ってもらえる本を作りたいんです。

よく絵がないものに絵をつける作業ってすごく難しいのでは?と聞かれるのですが、むしろ自分にとっては楽しい作業でして。僕はCDジャケットの仕事もしていますが、CDの場合は歌詞が散文になってるので、そこからイメージを作るんですね。バラバラだったパズルを、見える形に組み立てていく感じです。でも、本の場合はその逆なんです。例えば小説は登場人物もストーリーもきちんとした文章で描かれているので、描くものがあらかじめ決まっている。つまり、美しく複雑な形に組み上がったパズルを崩して、単純な形に組み変えてあげる感じなんです。答えは決まっているんだけど、そこからちょっとズラしていく、ちょうどジェンガのような作業が楽しいんですよね。

中村佑介

謎解きはディナーのあとで

『謎解きはディナーのあとで』
小学館

表紙の力で、作品のイメージが広がっていくから責任重大

本における表紙の影響力ってかなりあると思うんです。CDでも「ジャケ買い」という言葉があるくらいですから。だから自分の仕事は責任重大と思って毎回真剣勝負しています。

森見登美彦さんの作品や東川篤哉さんの『謎解きはディナーのあとで』の場合などは、作品を読んだ瞬間にこれは放っておくとなかなか女性の読者がつかないと思ったんです。皆がこの作品の良さに気付かずに過ごしちゃうのはもったいないと思って。見せ方次第で、女性にも読んでもらうことができるはずだから。そこで仕事をするのが、イラストレーターなりデザイナーなんですよね。表紙の力で、作品はそのままに、いくらでもイメージを広げることができる。そんな風に考えて描いたのがこちらです(左画像参照)

イラストレーターという仕事は主役ではなく、あくまで脇役です。作家やアーティストたちの顔を作っているわけで、たぶんメイクさんに一番近い存在なんですね。たとえば、デートの日にメイクしてあげた女の子が、メイクがイケてなくてフラれちゃった、なんてことがないようにしないと。だから「百発百中で落とさせるぜ」みたいな気分でやってます。あと一番、大切にしているのが、作家さんやアーティストをリスペクトすること。何度も読んで自分なりに理解して、そして最後にその作品を愛する。愛しているから、愛されるものが描けるんだと信じています。

代表的な装画作品の裏側を聞いてみました

『親指の恋人』石田衣良著(小学館)

『親指の恋人』石田衣良著(小学館)

これは『きらら』という文芸誌に連載されていた小説で、第1話から第15話までの扉絵を描き、最後に本の表紙を描き下ろしました。このときは、すごく暗い気分で描いてたんです。というのもこのお話は、冒頭で主人公たちの死が告げられて、その悲しい結末に向かって進む、本当に救いのないお話なんです。それを僕は連載中、1年以上かけて読んでいたので、じわじわと蝕まれていくような、飲み込まれていくような感覚があって。だからせめて扉絵や表紙は、テーマは踏襲しつつも救いのあるものにしたくて、物語の中から明るい部分を出来るだけ抽出して描きました。ちなみに石田衣良さんって、ものすごく原稿を書くのが早いんですよ。「すみません、まだまったくできてないんです」と言われた半日後には、全原稿があがってきたりする。プロの仕事に触れたなって、思いましたね。

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『夜は短し 歩けよ乙女』森見登美彦著(角川書店)

『夜は短し 歩けよ乙女』森見登美彦著(角川書店)

これはハードカバー版では、叡山電車をバックに大きく描き、その前に主人公ふたりがいるちょっと印象的な絵にしました。あと京都らしさを出すのにくすんだ朱色で仕上げたので、どことなくしっとりしたイメージになったと思います。一方で文庫版は、そのまま縮小すると人間が小さくなってしまうので、女の子をアップにし、電車を小さくして配置も換えました。文庫版ではちょっと違うところをくすぐり、ポケットに入れたくなるような可愛らしい絵にして、ハードカバーを買った人にも買い直してもらいたいなと思ったんです。でも結果的に文庫版のほうが、森見さんの独特な世界観を表せたかなと思っています。森見さんの作品って、お茶目というか、本人も気付いてないような可愛らしさがあるんですよ。その可愛らしさが、この文庫版で出せたように思います。

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『セーラー服と機関銃』赤川次郎著(角川書店)

『セーラー服と機関銃』赤川次郎著(角川書店)

この本は、これまで映画などで女優さんがセーラー服を着て機関銃を構えているイメージがあるので、バイオレンスチックな表紙が多かったんです。でも赤川次郎さんの作品って、あれだけ人が死んでるのに、読後はなんかすっきりしてるんですよね。そこが魅力だと思うので、あの爽やかさを出したかった。それで舞台になっている極道の世界を直接描かず、花札というモチーフにして描きました。今までのイメージを変えつつも、内容はきちんと伝えて、なおかつ新しい世代にも読んでもらえるようにしたかったんです。このベストセレクションでは、全部で10冊の表紙を担当しました。お会いしたことはないのですが、赤川さんなら何を描いても「いいじゃない!」と言ってくれる気がして。そもそも大先生ですから、僕が何を描こうが先生のイメージはビクともしませんし。そんな方の本の上で自由に泳がせてもらった感じで、すごく楽しいお仕事でした。

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業界人の中村さんも、電子書籍を利用したのは今回が初めて!

長年業界に関わっている自分のような人間ほど衝撃

実は電子書籍には今日、初めて触れました。
なるほど、専用端末だけでなく、タブレットやスマートフォンでも見られるんですね。
これは便利そうです。

あ、ちょっと待ってください。
そうすると端末によって画面の大きさが違うから、電子書籍ではこれまでのような文庫版とハードカバー版といった概念がないということですか?初版/重版という概念もないのですね。
どんなハードでもその形態にあわせて読むことができ、かつ常に最新版のコンテンツになっているということですね。

これって長年出版業界に関わっている自分のような人間ほど衝撃かもしれませんね。

中村佑介
中村佑介

電子書籍ならではの表現方法を探っていきたい

どこにいても思い立ったら即買えるっていうのは、すごく便利ですよね。
会社員の人が、通勤電車の中でビジネス書を読んだりするのにも、すごくいいと思います。

ただ、ここまで来ると出版業界に関わる人間としてはもう少しチャレンジしたくなりますね。
せっかくフルカラーでこうやって楽しめる環境が整いつつあるわけですから、このメディアに合わせた表現方法があると思うんです。

たとえば本ではできないこと、電子書籍だとカラーの挿絵が入っているとかね。
僕はイラストレーターだから、そういう発想になってしまいますが、ほかにも電子書籍だからできることってたくさんあると思います。Reader Storeのサイトに行くと、まだデビューしていない作家さんの作品が読める、とかもいいかもしれませんね。

そういう新しい試みがたくさん出てくると、電子書籍がもっとおもしろくなると思います。 数年先がどうなっているか、今から愉しみですね。

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中村佑介

中村佑介
イラストレーター

1978年兵庫県宝塚生まれ。父は建築家、母は子供服のデザイナー(現在は色彩心理学者)、兄は料理人。1996年大阪芸術大学デザイン学科・視覚情報コースに入学し、パソコンによるデザインやコンピューターグラフィック、手作業による銅版画やシルクスクリーンを同時に学ぶ。また在学中に演劇、映画、音楽制作にも携わり、同コース助手を2年勤めた後、2002年からフリーランスに。ASIAN KUNG-FU GENERATIONや数多くのアーティストのCDジャケットには定評があり、近年では東川篤哉『謎解きはディナーのあとで』をはじめ、赤川次郎、石田衣良、森見登美彦などの書籍カバーも手掛けている。他にも漫画やエッセイ、”セイルズ”としてのバンド活動、テレビやラジオ出演など、多岐にわたって活躍中。2009年に発売した待望の初作品集『Blue』(飛鳥新社刊)は、 10年間のイラストすべてが収められており、画集では異例の8万5000部を突破している。

ブログ 「僕のアベノライフ」 http://abenolife.exblog.jp/

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