発掘!アーティスト

未開拓のシーンを切り開くエクストリームなアーティストをご紹介。
案内役は、連載オリジナルキャラクターのせん太くん。

2013.11.21

瀬畑亮が切り開く!
世界で唯一のセロテープアート(R)

プロフィール

日本各地に存在する様々なエクストリーム・アーティストをせん太くんが訪ね歩き、アートの極意を聞き出していく連載シリーズ「発掘!アーティスト」。第2回はセロテープアート(R)作家の瀬畑亮さん。自宅兼アトリエにお邪魔して、アートを始めたきっかけから制作技法まで、せん太くんが根掘り葉掘りうかがいました。

今やこの道30年、気がつけばセロハンテープでした。

せん太:いやっほ~!おかげ様で好評につき連載第2回!おいら、連載が終われば人生も強制終了しちゃう儚い存在だけに、不安で毎日震えながら過ごしてたッス。

瀬畑亮:こんにちわ!セロテープアート作家の瀬畑です。今日は僕のアトリエをわざわざ訪ねて来てくれて光栄です。

せん太:瀬畑さんお初です! しかしアトリエと言っても、閑静な住宅街の中にある一軒家なんスねぇ。

瀬畑亮:元々実家だったところを自宅兼アトリエにしたんだよ。何しろ個展前は毎日15時間くらい作業しているし、かなり大きな作品も作るからね。このスタイルが一番効率いいんだ。

せん太:15時間って、睡眠時間を除けば殆どじゃ!? 一体いつから続けてるんスか?

瀬畑亮:もう30年以上前からかなぁ。元々幼少期はノッポさんに憧れていたんだ。それで彼が色々とテープで工作しているのを見て、僕も勝手に捏ねて遊びだしたのがきっかけかな。粘着力があるから、丸めると形になるのが楽しくて(笑)。大きくしながら形を整えていく手法自体は、今も殆ど変わっていないね。

せん太:そんな頃からやってるなんて、まさに生粋のアーティスト! でもこの手法ってやたら時間がかかりそう。作業を見学してても、全然進んでいるように見えないッス。

瀬畑亮:そうだね……大型作品は長いものだと4年はかかるかな。何しろセロハンテープって、足すことは出来ても削るのが本当に難しいんだ。手で凄い圧力を加えながら固めているからね。大体、1.5倍大きくなると想定して制作開始するんだけど、形の定まっていない抽象作品の場合は特に、作業中セロハンテープと対話しながら進めているよ。そうして何年も作業を続けていると、ある瞬間ふと終わりの感覚がやってくるんだ。

せん太:ある瞬間に終わりを感じるって……まるで恋愛みたいッス! それじゃ今まで他の素材に浮気しようとかも考えなかったんスか?

瀬畑亮:うーん、ずっとこのやり方がベースにあったからなぁ。僕は東京造形大学出身で、4年生の時に初めて友人と展覧会を開いたんだけど、その時にはもう自然とセロハンテープがテーマだったね。アート界では全くのアウトサイダーだったから、その後の活動はなかなか認知してもらえず苦労したなぁ。

せん太:どうやって生活してたんスか?もしかして実家暮らしのニート?

瀬畑亮:いやいや(笑)、並行して造形や広告関係の仕事をしていたよ。働きながらコツコツ個展の開催を重ねたんだ。開催場所によって客層や評価も異なるから、それに翻弄されそうな時もあったなぁ。最終的には自分の発想を大事にしたけれど。

せん太:そこで自分の信念に従うのは、相当な勇気が必要ッスよね……。

瀬畑亮:そうなんだよ! でもその方が少しずつでも認知されていくんだよね。著名な評論家も個展に訪れてくれるようになり、「君はそのまま自分の道を突き進め」ってアドバイスしてくれたよ。その時、自分の歩んできた道が正しかったと感じたね。

正式には「セロテープアート(R)」です。

せん太:ところで「セロハンテープ」と「セロテープ」って、何が違うんスか?

瀬畑亮:せん太くん、よく気付いたね! セロハンテープメーカーであるニチバンさんから発売されている商品名が“セロテープ(R)”なんだよ。実は僕、スポンサードしてもらっているんだ。だから僕がやっているのは、正式には「セロテープアート(R)」になるんだよね。

せん太:えぇ~!? 今や企業とも関係を結んでるんスか?

瀬畑亮:ここまでに長い道程があったんだよ。作家活動一本に集中できるよう、メーカーにスポンサードして欲しくてね。毎月のように手紙や案内をニチバンさんのお客様相談室に一方的に送っていたんだ。そうして数年経ったある時、たまたまタイミングも重なり別部署の目に触れる機会があったんだ!面白いと感じてくれる人が社内にいたみたいで、会う機会を貰えて今があるんだよ。

せん太:数年って、瀬畑さんのハートの強さが尋常じゃない……。となると、この部屋いっぱいにある段ボールも、ニチバンさんから提供されてるんスか?

瀬畑亮:そうだよ! 特注の色付きセロテープも開発してくれたりして、とてもいい関係を築けているんだ。今では作品制作に限らず、新製品の開発も手伝わせてもらっているよ。実際に僕が企画して製品化したものもあるね。社会と関わりを持つことが現代アートのスタートラインだと思っていたから、僕としてはこんな幸せな事はないよね。

せん太:なんたる雑草魂! それじゃ今の瀬畑さんが苦心していることって?

瀬畑亮:やっぱり作業に時間がかかることかな。長期間の作業となるとモチベーション維持が大切なんだ。だから段々とテンションを盛り上げていって「セロテープハイ」っていう状況になれるように調整しているね。

せん太:セロテープハイ……一体、瀬畑さんはどこまで高みを目指すのか。目標はあるんスか?

瀬畑亮:個展を開催し始めた頃に比べて、今では10倍以上のスペースで開催するようになったし、観に来てくれる人の層も幅広くなってきたから、空間全体を演出出来るようになりたいな。誰でも楽しめるアミューズメントパークのように、大掛かりな演出が出来れば良いよね。

せん太:考えてみたら、瀬畑さんは表現のバリエーションが豊富ッスよね。

瀬畑亮:いろいろと挑戦して幅が増えたと思うよ。例えばテープを洗濯して形状変化を起こしてみたり、場所によって敢えて古いテープを使用することで色味を黄金色っぽくしたり。他にも「アニマルシリーズ」では子供が喜びそうな造形を心がけているし、「セロハン画」では3原色のテープを重ね合わせて絵画のように装飾する技術にも挑戦しているね。

せん太:これからの活躍が楽しみッスね! いつかはおいらのフィギュアも作って欲しいッス! お話ありがとうございやした!

セロテープアート(R)の始め方を動画で紹介!

瀬畑亮 Profile

現代アート作家
幼少期(6歳の頃)にセロテープ遊びを始めて以来ずっとセロテープ一筋でアート作品を作り続け、現在はテープメーカー大手のニチバン株式会社と専属作家契約を結ぶ『セロテープアート(R)の第一人者』。 2008年に練馬区立美術館で自身初の公立美術館での個展を開催し、世界各国で多数のメディアに取り上げられ大成功を収める。 2012年には兵庫県立円山川公苑美術館で西日本初の個展を開催し、地方都市でありながらも予想を遥かに越える記録的な集客数を挙げ大成功を収めた新進気鋭の現代アート作家。
瀬畑亮オフィシャルサイトhttp://www.ryo-sehata.com/

せん太 Profile

田舎から出てきたものの、やりたいことが見つからず、日々自分探しをしているピーターパン男子。今回の連載を通し様々なアーティストに会うことで、自分が極めるべき道を見つけたいと思っている。