発掘!アーティスト

未開拓のシーンを切り開くエクストリームなアーティストをご紹介。
案内役は、連載オリジナルキャラクターのせん太くん。

2014.08.21

テーマは「エコ」
再利用できるペットボトルアート

プロフィール

日本各地に存在するさまざまなエクストリーム・アーティストをせん太くんが訪ね歩き、アートの極意を聞き出していく連載シリーズ「発掘!アーティスト」。第11回はペットボトルアーティストの本間ますみさんです。ペットボトルを素材にして、魚や鳥、木や花などの生き物を作り続けている本間さん。その繊細にしてダイナミックな作品世界を堪能すべく、せん太くんが個展会場に潜入してきました!

塗料や接着剤を使わない、再利用できる作品

せん太:今日は本間ますみさんの個展にお邪魔してるッス。わわ!ペットボトルで作られた魚やイルカが泳いでる!

本間ますみ:せん太くん、こんにちは。今回の個展は海をテーマにしていて、海のいろんな生き物を作ったんだよね。

せん太:サンゴがあって、魚の群れがいて……海の中の世界全体を作ってるんスね。水族館みたいッス。

本間ますみ:ふふふ、そうだね。もともと水族館に関わる仕事をしていて、それがペットボトルで作品を作るようになったきっかけでもあるのね。

せん太:詳しく聞かせてほしいッス!

本間ますみ:もともと美大で油絵を専攻していたんだけど、卒業してから、動物園とか水族館の設計・施工をする会社に就職したの。そこで、水族館だったら、水槽の中をデザインして作っていくという仕事をしていたのね。そこで、図面を引いたり、色を決めたり、最終的には現場管理までを一手に手掛けて。私の作品は「生き物」をテーマにしているんだけど、そういった仕事を通じて生き物についての知識を深めていったんだよね。

せん太:お仕事が、その後の作家活動に繋がるんスね。

本間ますみ:その後、独立して仕事を続けるんだけど、水槽のほかにイルミネーションのデザインと施工も手掛けるようになって。ある時、ホテルのイルミネーションの仕事を受けたんだけど、テーマが「エコ」だったのね。イルミネーションで、どう「エコ」を表現するか……試行錯誤したんだけれど、ペットボトルを素材にしたらいいんじゃないかなって思ったの。

せん太:そこで初めてペットボトルに着目したんスね。

本間ますみ:それで作ったのが、大きなクリスマスツリー。それがきっかけになって、ペットボトルのクリスマスツリーをいろんなところで展示するようになったの。

せん太:その過程で「ペットボトル、いいぞ」って気付いたんスか?

本間ますみ:ちょっとずつの積み重ねで、制作のコツがだんだんわかってきたんだよね。鉄骨とかを入れずに、ペットボトルだけを素材にしてどこまでいけるか――それを追究していくうちにペットボトルアートにハマっちゃった感じかな。

せん太:ペットボトルアートの魅力ってどこにありやすか?

本間ますみ:使い終わったペットボトルをゴミと捉えている人はまだまだ多いと思うけど、これはリサイクルできる資源だよね。ちゃんとした廃棄の仕方をすればゴミではない。私の作品が、そういうことを考えてもらうきっかけになればいいなって思ってる。だから、作品は塗料や接着剤を使わず、そのまま再利用できるようにしているし、生き物や自然の風景をモチーフにしているのもそういう理由からなの。

せん太:なるほど~。確かに作品を見たら「これ、リサイクル資源なんだな」って思いやすもんね。

本間ますみ:そこまで声高にメッセージを伝えるつもりはないんだけど、でもこういう作品を見たら、飲んでいたペットボトルをポイって捨てようとは思わないでしょ?うちの家族はペットボトルを必ず持って帰って来るようになった。「これ、要るよね」って。

せん太:そうやってもらったペットボトルを使ってるんスか?

本間ますみ:そう、常に集めてる(笑)。個展を開くとなったら、たくさんペットボトルが必要になるから、友達にも「持って来てね」ってお願いしたり。最近は友達も作品に使いやすい飲み物を買ってくれたりする(笑)。

自然環境全体を表現したい

せん太:透明だからライティングで色を表現してるんスね。それがまたきれいだなあ。

本間ますみ:プロの照明の方にアドバイスをいただいたり、機材をお借りしたりしながら、光も自分で考えているの。基本的に普通の照明は使っていなくて、あまり電力を使わないLEDにしてます。

せん太:そういうところでもエコを表現しているんスね。どうやって作っていくかを教えて欲しいッス。

本間ますみ:まず、試作してみて、そのモチーフがイケるかどうかを確認するの。具体的な工程は、写真とかの資料を探すところから始まって、そのうえで立体の型紙を作る。それをペットボトルに当てて、はんだごてで形を作っていって。

せん太:はんだごてがメインの道具なんスか?

本間ますみ:模様を入れるのも、ペットボトルを曲げるのも、ペットボトルを貼り合わせるのも、はんだごてでやってます。

せん太:制作のうえで難しいのはどういうところスか?

本間ますみ:やっぱり大きいものを作るのが難しいかなあ。ペットボトルって柔らかくて薄いから強度がないでしょう。作品が大きくなると重くなるから、歪んでしまうんだよね。そこをどう解決するか。

せん太:いまのところ、いちばん大きな作品はどれスか?

本間ますみ:3mのイルカかな。これは骨があるんだけど、実際の生き物と同じで、体を支えるために入れてるの。どこまで大きいものを作ることができるか、挑戦を続けていきたいと思ってます。

せん太:いま作っている作品はありやすか?

本間ますみ:制作途中のものはいっぱいあって……人間も作ってます。

せん太:人間ッスか!

本間ますみ:まだ顔と両手しかできてないんだけど(笑)。例えば、今回の海の個展だと、海の世界と、見る側のお客さんとが切り離されてしまうところがあるでしょう?作品世界の中に人間も入れてあげることで、別個の関係ではなくて共存の関係になるんじゃないかと思ったの。エコロジーというテーマを追求するなら、人間も作るべきじゃないかなって。

せん太:そうやって作品がどんどん繋がっていくんスね。

本間ますみ:自然界はすべてが関わり合って成り立っているものでしょう?そういう自然環境全体を表現したいの。海があって、浜があって、山とか川とか林もあって……って。

せん太:じゃあ作品世界がどんどん大きくなっていくんじゃないスか?

本間ますみ:それが困っちゃうんだよね(笑)。でも、さらに大きな展示会場で、がっつりやってみたいなと思ってます。やっぱり作品世界のすべてが繋がってないと意味がないし、そこまでやって初めて、私のメッセージが伝わるんじゃないかとも思うのでね。

せん太:本間さん、アツい……。どデカいスケールの作品、楽しみにしてるッス!

本間ますみさんのペットボトルアートを動画で紹介!

本間ますみ Profile

女子美術大学絵画科卒業・同研究科2年終了後、2006年にペットボトルソフィストケイティドアート制作を開始。
個展、東北復興支援作品など地道な創作活動に取り組む一方、ホテル・駅など、大型商業施設、アミューズメント施設各所などでは大型作品を多数出品。
本間ますみオフィシャルサイトhttp://masumi-homma.com/

せん太 Profile

田舎から出てきたものの、やりたいことが見つからず、日々自分探しをしているピーターパン男子。今回の連載を通しさまざまなアーティストに会うことで、自分が極めるべき道を見つけたいと思っている。