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プロフィール

2015.1.15 エフ・ビー・コミュニケーションズ代表 屋代卓也、ガルバプランニング代表 彌永耕一
ニュース、ビジネス、求人など、音楽にまつわるあらゆる情報を網羅している音楽業界総合情報サイト「Musicman-NET」。この中で2012年にスタートした新サービス『Musicman 不動産情報』は、防音室付き、録音スタジオ付き、ミュージシャン向けシェアハウスなど、「音楽」や「防音」に特化した物件ばかりを集めた不動産情報サイトです。さらに、自宅に設置できる防音室「Musicman Cube」も開発し、販売しています。「Musicman-NET」が、音楽家のための不動産情報サイトをはじめた理由とは?「Musicman-NET」を運営するエフ・ビー・コミュニケーションズ代表の屋代卓也さん、「Musicman Cube」の開発に携わったガルバプランニング代表の彌永耕一さんにお話をうかがいました。

「音楽」のための不動産情報があってもいいと思ったんです

──なぜ「Musicman-NET」が不動産情報サイトをはじめることになったのでしょうか?

屋代:私は30年ほど前から業務用レコーディングスタジオの運営をしており、さらに「Musicman」という音楽業界情報年鑑の出版、音楽情報サイト「Musicman-NET」も運営していることから、知り合いにミュージシャンやエンジニアの方が多いんですね。その方々から、「音が出せる物件を探している」、という声をよく聞くようになったんです。最近は機材がコンパクトになって、自宅で作業をする方が増えてきていますから。ただ、不動産屋さんに行って希望を伝えても、「想像していたものと違った」、「何件も見てまわったのにムダ足だった」ということがよくあったようです。それで「Musicman-NET」の中に、音楽をする人のための不動産情報があってもいいんじゃないか、と思ったのがきっかけです。よく、古い物件やアーティスティックな物件ばかりを紹介するユニークな不動産情報サイトってあるじゃないですか。僕自身、そういうものが好きでサイトを見ていたので、その音楽版という感じです。

──サイトを拝見すると、音の出せる物件ってこんなにバリエーションがあるのかと驚かされます。

屋代:千葉県船橋市のシェアハウスは本格的なスタジオ設備が整っていたり、某有名ミュージシャンが建てた横浜市青葉区のスタジオ付き一戸建ては、メジャーな曲がたくさん作られた場所だったり、物件によっていろんな発見があっておもしろいですよ。ただ、単純に物件そのものの価値でいうと、防音室を必要としていない人の方が圧倒的多数なので、防音室があると資産価値が下がるといって壊されてしまうケースも少なくないのです。音楽好きにはとても貴重な物件ですから、壊されてしまうのはもったいないですよね。

──記事では物件の広さや環境だけでなく、どういう音楽好きに向いているかまで詳しく書かれていて、コラムを読むような楽しさもあります。どのようなポイントを重視して取材されているのでしょうか?

屋代:重視しているのは、やはり本当に音を出しても大丈夫なのかというところですね。たまに「防音室なのに、なんでこんなに窓が大きいの?」みたいな物件もあるので、実際に音を出したり、周囲の環境を見たりしながら、納得のいった物件だけを紹介するようにしています。「わざわざ現地に行かなくてもいい不動産情報」を目指しているので、求めている人に代わって物件を見学しているつもりで、見たまま、感じたままを正直に書くようにしています。実は、このサイトはほとんど僕一人で運営しているのですが、ほかの業務がメインですので、時間のあるときに取材に行って写真を撮り、定時よりも早めに出社して更新することもあるんですよ。


『Musicman不動産情報』 のトップページ(左)、エフ・ビー・コミュニケーションズでは、 『 Musicman-NET』、『Musicmanオークション』、Musicmanの書籍など音楽関連の媒体を幅広く手掛けている(右)

賃貸住宅にも設置できる防音室「Musicman Cube」も開発

──防音の物件だけでなく、既に住んでいる部屋を防音室にできる「Musicman Cube」も開発されています。

屋代:僕はレコーディングスタジオの経営者として、これまで簡易防音室の防音性にはそんなに期待していませんでした。それが、あるとき彌永さんと知り合い、防音に特化した不動産業をされていること、また、とても優れた簡易防音室を開発されていることを知ったんです。ご本人は国立音楽大学の出身で、声楽家としての耳を持ち、防音の仕事に携わっていらっしゃいます。なので、とても信頼できるんです。

彌永:私自身が若い頃、部屋に毛布をはって練習して酸欠状態になったりと苦労したので(笑)、音楽家の気持ちや音の感覚がわかります。そうした視点から、「防音賃貸.com」というサイトをはじめ、高性能の防音室も開発しました。私たちは防音室の性能に自信があり、「Musicman-NET」さんには素晴らしい発信力があります。それで、ぜひ一緒にやりましょうと「Musicman Cube」という形で商品を出すことにしたんです。

──「Musicman Cube」とは具体的にどういう商品なのですか?

彌永: 部屋の形に合わせて施工できるセミオーダースタイルの簡易防音室です。クギもネジも使わないので、賃貸物件でも部屋にキズをつけずに組み立て・解体ができます。「楽器可」の防音室があるマンションでも、音が外に漏れてしまうことはよくあるんです。でも「Musicman Cube」は飛行機の整備工場などに使われている素材、オリジナル新案の防振材を使用しており、騒音の大きな原因となる振動をカットするので、ピアノやボーカル、弦楽器などのアコースティックな楽器でしたらまったく外に音が漏れません。また、広告を出していない分、価格も安く抑えることができています。その代わりショールームはないので、検討したい方には、すでに設置されているお宅を見てもらうしかないんですけどね。でもそのほうが喜ばれるし、見学をお願いする利用者の方も、満足いただけている方が多いので「いくらでもどうぞ」と言ってくださるんですよ。

屋代: 都内に住むあるジャズドラマーの方の住居は、防音室以外はわずかに寝るスペースがあるだけなんですが、本人は大満足されているんですよね。「駅から徒歩1分の住宅密集地で、まさかドラムが叩けるとは思ってなかった」と仰ってました。その方にとって何よりも大切なものが、防音室だったんですよね。

彌永:「幸せです」と言っていただけたので、私たちもすごくうれしかったです。今、人々のニーズはすごく多様化していて、お客さん一人ひとりの楽器も違うし、楽しみ方も違う。その思いに合わせたものを提供できることは、こちらとしてもすごく楽しいことなんです。


左からインタビューを受ける屋代さんと彌永さん(左)、UR幕張での簡易防音室「Musicman Cube」設置例。この物件ではグランドピアノのサイズに合わせて設置されている(右)

※すでに成約済の場合もありますのでご了承ください。

好きな人が好きな時に、自由に音を出せるようにしたい

──「Musicman不動産情報」のスタートから2年経ちましたが、利用者からの反応はいかがですか?

屋代:正直、一人でやっているので取材も更新も限度があるから最初は「徐々に浸透すればいいかな」という感じだったんですが、やってみたら想像以上に反響があって、情報を必要としている人がたくさんいることを実感しました。立ち上げてすぐ扱った物件で、20年以上運営してきたレコーディングスタジオがありました。オーナーさんは一流ミュージシャンの方で、高齢を理由に誰かに譲ろうと周りに声をかけてみたんですが見つからなかったそうで、僕のところに相談があったんです。そのときは僕も、今どき本格的なスタジオを欲しい人がいるだろうかと思っていたんですよ。それが、サイトに載せてみたら問い合わせが殺到してすぐに買い手が見つかりました。それがおもしろいなと思って、続けるモチベーションになっています。

──利用されている方にはどんな傾向があるのでしょうか?

屋代:最初は、利用者は音楽業界の人たちだろうと想定していたんですが、実際には家賃がそこそこ高い物件が多いこともあり、会社勤めをしながら仲間と本格的な音楽活動を楽しんでいる方も多いように感じます。また最近は、子どもの頃は楽器をやりたくてもできなかったけど、大人になり、余裕ができたので始めた、という人もすごく増えています。音楽は、聴くだけならヘッドホンでもいいんですが、演奏となると、どうしても音が出てしまいますから。ですので、これからプロアマ問わず、防音室のニーズはさらに増えていくと思います。今、音楽ビジネスはいろんな意味で大変な状況にありますが、楽器を演奏したり、歌ったりという音楽の楽しみ方は普遍的なものですので、音楽が好きな人が、思い立ったときに、自由に音を出せるようになるといいなと思っています。

取材を振り返って

音楽を楽しむために作られた住まいを、同じように音楽を楽しむ人に使ってほしい。そんなシンプルな思いから生まれた『Musicman不動産情報』。そこには音楽への愛情を極め、夢をかたちにした個性的な物件の数々がありました。楽しいはずの音楽が、人によっては「騒音」になってしまう現代。防音室を持ち「好きなときに好きなだけ」音が出せる暮らしから得られる自由と充実感はかけがえのないものです。また、こうした画一的でない、一人ひとりの趣味嗜好に合わせたスタイルは、これからの住まいを考える上でも大きな指針となるように思いました。

『Musicman不動産情報』 Profile

アーティスト、ミュージシャン、エンジニア、演奏家など音楽家のために厳選された物件を紹介する不動産情報サイトとして2012年にスタート。掲載されている物件は首都圏近郊のもので、「室内防音ブース有」「ドラムOK」「グランドピアノが置ける」など条件に合わせて検索することも可能。また、既存の部屋に置ける防音室「Musicman Cube」も開発・販売している。
http://www.musicman-net.com/estate/